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The Shincho
Monthly
April
2000
【表紙のことば】
「香川千穂(4)」藤原新也
 別府から日豊本線を走る鈍行列車に乗って、佐志生という誰も知らないような、静かな海沿いの町に降りたのは肌寒い曇りの日でした。
 まるで時代から取り残されたような、この町で感じたことは、この場所でわたしの知らない人達が生活している時間というのは、わたしが生活している時間と同じ時間の流れの中にあり、それぞれが違う場所で互いに全く知らずに、でも同じ時間を共有していることです。旅に出ると、いつもそんなことを感じて不思議な気持ちになり、少し切ない気持ちにもなります。


新潮4月号目次
鏡 川       安岡章太郎

卓抜した漢詩人にして希代の樹懶(なまけもの)、晩年は葬式の旗持ちをした小鷹(しょうよう)=西山麓(ふもと)を軸に、母方の家系につらなる明治土佐の群像を描いて「流離譚」の対をなすライフワーク

目覚めよと人魚は歌う 星野智幸

短期集中連載 第1回
笑いオオカミ     津島佑子

父を知らない少女と母を知らない少年、夜汽車に乗り、北へ……

《午後のパレット4》
テンペスト         森内俊雄

◇新潮◇
六部笠           津村節子
漱石・古峡・中也      曾根博義
米屋の家          黒川 創

◇発言◇
神戸・吉野・愛知   田中康夫

ヘミングウェイはモダニストか 佐伯彰一
  ――二十世紀小説の行方

春が来る前に         椹木野衣
  村上春樹の新作を読む

◇2000年文学の旅◇
逍遥する文学        柴田元幸

◇Books in my life◇
何でもないことを書く    秋山 駿

文芸時評          渡辺 保

《21世紀への対話4》
漢字――古代と現代の架橋 白川 静 吉田加南子


富小路禎子(新連載)     高橋順子

◇ 本 ◇
『辻まこと全集』第1巻 画文1  三木 卓
伊井直行『服部さんの幸福な日』  室井光広
中原昌也『子猫が読む乱暴者日記』 丹生谷貴志
角田光代『地上八階の海』     陣野俊史

◇連載◇
場所     瀬戸内寂聴
郊外の文学誌 川本三郎
東大講義   立花 隆


雲の都    加賀乙彦
秘事     河野多惠子
新潮◆FORUM
Special 「新潮」レイアウト、HP大幅リニューアル
Interview 分断国家を見つめる視線
Legend   ハイエクの復権
Multimedia ネット時代と文字表現
Millennium 三十六年ぶりの復活、塔晶夫「虚無への供物」
Welcome  オンダーチェ初来日
New Book 「武満徹著作集」刊行開始

編集長から