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The Shincho
Monthly
July
2000
【表紙のことば】
「平田佐和子(1)」 藤原新也
 平田君は陽射しが苦手だそうです。
 顔に太陽があたると、まるで地中から出てきた冬眠中の小動物のように、額に皺をよせてまぶしそうな顔をします。それで夕方日が落ちて、あたりが薄暗くなりはじめたときにこの写真を撮りました。淡い光の中では彼女の肌は不思議な発光物体のように微細な輝きを発しはじめます。
 僕は“キノコ君”と彼女を命名しましたが、そのことは言わなかった。
 ところで平田君は海洋大学に進みたいとのこと。これもまた不思議。


新潮7月特大号目次

第13回三島由紀夫賞発表
(受賞作)目覚めよと人魚は歌う 星野智幸
  (選評)筒井康隆 宮本輝 高樹のぶ子 福田和也 島田雅彦

[対談]ラテンアメリカとの混血へ! 星野智幸 野谷文昭
(受賞エッセイ)新人作家の賞味期限 星野智幸

《三島由紀夫賞作家創作特集》
青葉木菟   佐伯一麦
愚か者    車谷長吉
橋      山本昌代
逢引     松浦寿輝
砂売りが通る 堀江敏幸


川端賞受賞第一作
胸がざわめく 岩阪恵子

蛮装     中薗英助

◆短期集中連載第四回
笑いオオカミ 津島佑子

◇発言◇
沈 黙    林 京子

◇新潮◇
「詩の紀原」を読む 中沢けい
小心地滑      井上義夫
ジァン・ジァン最終公演  佐伯順子

「俗界」への不断の視線
「藤原新也の現在」をめぐって 稲川方人

ドン・キホーテの梅雨(ばいう)お見舞い 笙野頼子

新潮四賞決定発表

寺山修司・遊戯の人 四五〇枚 杉山正樹

かれは稀代の天才か? それとも贋の金貨か? 『チェホフ祭』での十八歳のデビュー以来、天井棧敷の発足から晩年の《のぞき魔》事件まで、たえず同年代人として身近に接した作者が、世界の前衛テラヤマの〈虚〉と〈実〉を、書簡体形式を駆使して語りかけ、評伝文学に新しい地平を拓く傑作!

◇2000年文学の旅◇
モスクワより、愛をこめて  沼野充義

午後のパレット7
フーガの技法        森内俊雄

〈21世紀への対話 7〉
信仰とエロティシズム 山折哲雄 平野啓一郎

◇本◇
宮本徳蔵『海虹妃』         岡松和夫
金井美恵子『彼女(たち)について私の知っている二、三の事柄』  大下さなえ
小林信彦『おかしな男 渥美清』   中条省平
河合隼雄『猫だましい』       田中貴子
リチャード・パワーズ『舞踏会へ向かう三人の農夫』  若島正

富小路禎子  第四段――会はざりし夫  高橋順子

◇文芸時評◇           曾根博義

◇連載◇
場所――第七回 油小路三条    瀬戸内寂聴
郊外の文学誌(七)        川本三郎
東大講義「人間の現在」(三十五) 立花隆
雲の都(七)           加賀乙彦
秘事(十二)           河野多惠子
天の夜曲(十二)         宮本輝

新潮◆FORUM
Special   遠藤周作文学館が「沈黙」の舞台の地に
       埴谷・島尾記念文学資料館もオープン
Anniversary 創刊90周年「三田文学」の記念名作選
Secret    シルヴィア・プラスの未公開日記
Revival   野溝七生子の幻の書
Party   「風花」二十周年を祝う会
New Book   リチャード・パワーズの新作

編集長から
第三十三回《新潮新人賞》応募規定
 

 
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