本・雑誌・ウェブ
The Shincho
Monthly
October
2000
【表紙のことば】
 『奥村貴久美』藤原新也 
 昨今、心の時代という言葉をよく耳にする。だが写真を撮る行為を長年続けている私のようなものには、その言葉がどうもひとつピンとこない。心とは外部から自立してあるものではない、ということを写真行為を通していつも感じているからだ。特に女性は身に纏うものによって、その内面(心)がおそろしく変化する。それは今回の表紙のモデルとなった少女と、先月のモデルの少女が同じであり、彼女が身に纏うものや、そのシチュエーションの変化によって、まるで別人のように見えることからもあきらかだろう。心とは外の情景を映す鏡なのである。


新潮11月特大号目次

サクラン坊とイチゴ 宮 林太郎
三〇〇枚・九十歳作家の性小説!

朝、目を覚ますと僕のペニスが見つからない。手で撫でてみると、そこは割れ目になっていた……。エスプリに富んだ大人のメルヘン。


新潮新人賞受賞第一作
烙印 青垣進

午後のパレット11
鰯雲 森内俊雄

第32回新潮新人賞発表

[小説部門]
生活の設計(二六四枚)      佐川光晴

[評論・ノンフィクション部門]
媒介と責任(九四枚)       中島一夫
――石原吉郎のコミュニズム


選評 李恢成 別役実 佐伯一麦 福田和也 小川洋子

◇新潮◇
「日本近代詩」とその分身たち    守中高明
 ――平山隆『弔父百首』をめぐって
沖縄の“世”から          川村邦光
ハチロクの広島           田口ランディ

◇Books in my life◇
物語のうちそと           高井有一

◇発言◇
未来記   多和田葉子

第8回萩原朔太郎賞発表
『梢にて』   江代充

選評  富岡多惠子 司修 天沢退二郎 清水哲男 吉増剛造

富小路禎子 第八段――魂呼ばひ   高橋順子

〈21世紀への対話11〉
 思想を構築する力   梅原 猛 中村雄二郎

◇2000年文学の旅◇
白樺の林をぬけて黒海へ  沼野充義

◇本◇
保坂和志『生きる歓び』      小川国夫
稲葉真弓『ガーデン・ガーデン』  鈴村和成
唐十郎『蛇行』 川村毅
和田忠彦『ヴェネツィア水の夢』  木村榮一
パスカル・キニャール『アプロネニア・アウィティアの柘植の板』 野崎歓

◇文芸時評◇  川端香男里

◇連載◇
場所 ――第十一回 野方     瀬戸内寂聴
郊外の文学誌(十一)       川本三郎
東大講義「人間の現在」(三十九) 立花隆
父の肖像(二)          辻井喬
雲の都(十一)          加賀乙彦
天の夜曲(十五)         宮本輝

新潮◆FORUM
Profile      九○歳の性豪作家・宮 林太郎氏
New Phase     萩原朔太郎賞の新風
Archive      辻邦生氏の資料整理始まる
Private Life    娘から見たサリンジャー
Philosophy     ポール・リクールの半世紀
〈読者からの手紙〉

編集長から
第三十三回《新潮新人賞》応募規定


 
このホームページでは、月刊文芸雑誌「新潮」の内容紹介と記事の一部抜粋をご覧頂けます。「新潮」11月号は定価950円(税込)で全国書店にて発売中です。書店に在庫のない場合は、小社営業部読者係(電話03-3266-5111)までお問い合わせください。