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小説新潮 2007年7月号

(毎月22日発売)

817円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2007/06/22

発売日 2007/06/22
JANコード 4910047010770
定価 817円(税込)

【小説特集 人情紙風船】
◆宇江佐真理/深川にゃんにゃん横丁 恩返し
 ――子供相撲に込められた意地と知恵
◆安住洋子/暁の波
 ――亡き友の墓所で再会したあの人は
◆西條奈加/嘘つき紅
 ――眼には眼を、騙しには騙しを
◆犬飼六岐/与太話浮気横槍
 ――美人女房の家出に長屋中でひと芝居
◆山本一力/八つ花ごよみ 路ばたのききょう
 ――花を見て、花に見られて夫婦が行く

【第二十回山本周五郎賞決定発表】
◆恩田 陸/中庭の出来事
◆森見登美彦/夜は短し歩けよ乙女
 ――選評 浅田次郎/北村 薫/小池真理子/重松 清/篠田節子

【特集 小説家という仕事】
◆恩田 陸/物語の錬金術師
 受賞記念インタビュー/中庭の酩酊 小説の不安
 著作ガイド/恩田陸の仕事 大森 望

 書き下ろし短篇/弁明

◆森見登美彦/疾走する古都の青春
 受賞記念インタビュー/京都で、うにゃうにゃの服とカロリーメイトを
 著作ガイド/森見登美彦の仕事 大森 望

 書き下ろし短篇/蝸牛の角

【「女による女のためのR-18文学賞」受賞第一作】
◆三日月 拓/葬儀のあと
 ――ぼくを捨てた母ちゃんが遺したものは
◆石田瀬々/七月のつむじ
 ――いま、左斜め後ろの君に恋している

【清冽短篇】
◆谷村志穂/幼い乳房
 ――鴎舞う函館の地で、混血の娘は十六歳になる

【読切シリーズ】
◆阿刀田 高/公平さの研究
 ――公平を愛する男の人生と呟き
◆北原亞以子/むこうみず―慶次郎縁側日記―
 ――おまきの「長湯」のその訳は
◆乃南アサ/三年目の「あすは我が身の刑法入門」
 ――友人夫婦の仲裁をするはずが

【連載第二回】
◆西村京太郎/阿蘇・ねずみを殺せ
 ――消えた関係者を追って十津川は名水の里へ!

【短期集中連載】
◆海堂 尊/ジーン・ワルツ
◆あさのあつこ/ぬばたま

【好評連載小説】
天国と地獄/赤川次郎
警官の血/佐々木 譲
ソロモンの偽証/宮部みゆき
鬼哭鬼九郎/高橋克彦
【連載エッセイ】
恋のタネ/柴門ふみ
功利主義者の読書術/佐藤 優
マスヒロのあくび指南/山本益博
アンコ椿は熱血ポンちゃん/山田詠美
盤上の人生 盤外の勝負/河口俊彦

◆椎名 誠/麺の甲子園
 ――黒潮逆流リーグ篇

川柳うきよ大学/小沢昭一
第四回「新潮エンターテインメント大賞」募集要項
「謎 2007」シングルモルトチャンピオン決定!
次号予告

編集長から

山本周五郎賞の二十年
 東京ドームが完成し、リクルート疑惑で揺れた年、三島由紀夫賞とともに発足した山本周五郎賞が、今年で第二十回を迎えた。第一回の受賞者は脚本家としても高名な山田太一氏。第二回は吉本ばなな氏、そして第三回から佐々木譲氏、稲見一良氏(故人)、船戸与一氏と冒険小説の旗手がつづき、第六回には宮部みゆき氏が『火車』で名をつらねた。
 列記すれば、きりがない。文学賞の歴史は受賞作によって作られていく。賞の性格づけも、受賞作の歴史によってもたらされるものだろう。発表媒体という立場で賞にかかわる者として、ひとつだけどこにも負けないと誇れるものを挙げれば、選考会の席での議論の濃さである。五人の選考委員による議論は非常に真摯で濃密だ。候補作の書籍にはびっしりと付箋が貼られ、綿密なノートが持参される。編集者として、これほど勉強になる場もほかにない。
 時には真っ向から意見が対立する場合もある。しかし、第二十回の今年、受賞が決まった二作については、満場一致というしかなかった。強いてどちらかを上位に置くとしても微差でしかなく、どちらを推すにしても、必ず「もう一作を外すのは忍びない」との声が聞かれた。
 そうして選ばれた二作は、東西の人気作家によるものとなった。本屋大賞に選ばれた『夜のピクニック』など、数多くの著作を有する恩田陸氏の『中庭の出来事』、疾走感と同時に確かな文学的伝統を感じさせる若き森見登美彦氏の『夜は短し歩けよ乙女』。本誌では選考会の熱気を伝える詳細な選評に加え、両氏のロングインタビュー、著作ガイドとともに、受賞第一作となる新作短篇を掲載する。
 今月の小説特集は「人情紙風船」。特集名に夭折した山中貞雄監督の伝説的な時代劇映画のタイトルを借りて、今も昔も変わらぬ喜怒哀楽を五人の作家に描き上げてもらった。


小説新潮編集長 高澤恒夫

バックナンバー

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小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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