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小説特集:新 夢十夜

小説新潮 2008年12月号

(毎月22日発売)

817円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2008/11/22

発売日 2008/11/22
JANコード 4910047011289
定価 817円(税込)

【小説特集:新 夢十夜】
こんな夢を見た――漱石の「夢十夜」から百年。
現代の人気作家が新たに紡ぐ十の幻想、十の人生。

◆阿刀田 高/夢一夜
――夕暮れ時、古い橋のたもとにたたずむ私は何を待つのだろう
◆小池真理子/翼
――もう大丈夫。なんとか生きていける。そう思った夜だった
◆北村 薫/指
――上総には眼病の秘法がある。聞いた刹那、わたしは砂浜にいた
◆荻原 浩/長い長い石段の先
――蝉に誘われて森に囚われた、葬儀の記憶とたんぽぽの綿毛
◆西 加奈子/小鳥
――冬の午後四時。悲しみの淵で嘘つきの彼女が話した鳥の話
◆あさのあつこ/厭だ厭だ
――恋を知らずに生を終えた女の願いと、愛を諦めた男の罪業
◆道尾秀介/盲蛾
――女は毎晩違う男に抱かれる。私は黙ってそれを見ている
◆野中 柊/柘榴のある風景
――古びた絵葉書の風景。そこに向かって、私は歩いている
◆谷村志穂/こっちへおいで
――私の夢を見る男。私が見る火事の夢。夫は夢を見るのか
◆小路幸也/輝子の恋
――失ってしまった大切なものを、一つだけ取り戻せるとしたら

【短期集中連載スタート】
◆蓮見圭一/永遠の女性
――ろくなことが無かった二十歳の頃、故郷の町。
十数年ぶりの函館をさまよう薫の前に現れたのは……

【時代読切中篇】
◆安住洋子/澪(みお)の波
――町人の信頼篤い樋渡先生が、なぜ酒を必要とするのだろう

【読切シリーズ】
◆三浦しをん/初盆の客
――祖母の死後に現れた、見知らぬいとこ。祖母に秘密が?
◆山本幸久/たこ焼き、焼けた?
――一旗さんに借りたたこ焼き器。今日見つけたのは因縁なのか
◆北原亞以子/冬ざれ 慶次郎縁側日記
――古傘買いには不釣合いな銀煙管を目にし、吉次は男を追う

【第一回さくらんぼ文学新人賞決定】
〈受賞作〉ニノミヤのこと/長谷川多紀
〈選評〉唯川 恵/角田光代/小池昌代/北上次郎

【特集:作家になる道 Part2】
転機を好機(チャンス)に変えるために

〈スペシャル・インタビュー〉
◆井上荒野 聞き手:重松 清/あらすじのない、曖昧な世界を書くために
――空白の12年間。父の呪縛からの解放と自己回帰
◆三浦しをん/「職人として、書いていきます」
――書き続けるには、好き嫌いははっきりと
◆畠中 恵/されど、心配な日々
――最大の難所は、デビュー第2作出版までの日々
◆佐伯泰英/「結末」への旅の途中で
――九年前の絶望が、時代小説での再起を決意させた

◆豊島ミホ/休業の理由
――書くことと売れることの間で葛藤した26歳の決断

◆公募文学賞の選び方/土田みき
――作家への第一歩は、分析に基づいた戦略的な応募にあり
◆婚活モードで受賞を狙え!/藤田香織
――あなたの原稿を確実に受賞へと導く、応募原稿のABC
◆これを読んでから書け! ミステリ編/千街晶之
◆これを読んでから書け! 時代小説編/末國善巳
◆作家志望者のための作家人生モデルケース/土田みき+赤池佳江子

◆アンケート 私の作家人生の転機
石田衣良/逢坂 剛/北原亞以子/高村 薫/乃南アサ/唯川 恵

◆新潮文庫の100冊「作家のデビューはい~くつ?」

【好評連載小説】
北森 鴻/鏡連殺
重松 清/ゼツメツ少年
佐々木 譲/暴雪圏
高橋克彦/鬼哭鬼九郎
西村京太郎/宮島・伝説の愛と死 最終回
平岩弓枝/聖徳太子の密使
宮部みゆき/ソロモンの偽証

【連載エッセイ】
嵐山光三郎/文士の舌
柴門ふみ/恋のタネ
佐藤 優/功利主義者の読書術
山田詠美/アンコ椿は熱血ポンちゃん
山本益博/マスヒロのあくび指南
河口俊彦/盤上の人生 盤外の勝負
フジモトマサル/終電車ならとっくに行ってしまった
太田和彦/居酒屋百名山

第五回「新潮エンターテインメント大賞」募集要項
川柳うきよ大学/小沢昭一
次号予告

編集長から

十の幻想、十の人生
 こんな夢を見た。――で始まる十の掌編、夏目漱石の「夢十夜」が発表されたのは一九〇八(明治四十一)年だった。これに触発されたのか、黒澤明は映画「夢」を撮り、さらに昨年、十人の監督によるオムニバス映画「ユメ十夜」も公開された。
 百年を経てなお艶めくこの名作に、現代の人気作家十人が挑むのが、今月の小説特集「新 夢十夜」。冒頭の一行のみ漱石にならうが、その後の展開は、それぞれに持ち味とモチーフを全開にする。時に悪夢のように、時に日常の一場面のように。まさに十人十色、十通りの幻想と十通りの人生が、そこにある。
 これに並ぶのが、昨年好評を博した特集「作家になる道」そのパートII。今回のテーマは「転機」。井上荒野氏は聞き手の重松清氏に、父の呪縛とそこからの解放を明かし、佐伯泰英氏は絶望の淵からの再起を語る。公募文学賞の選び方、応募原稿のABC、必読参考書ガイドで、あなたにも転機が訪れる。


小説新潮編集長 高澤恒夫

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小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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