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特集:ビジネス小説最前線

小説新潮 2009年6月号

(毎月22日発売)

特別定価859円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2009/05/22

発売日 2009/05/22
JANコード 4910047010695
定価 特別定価859円(税込)

【特集:ビジネス小説最前線】

【新連載】楡 周平/虚空の冠
――ある新聞記者の数奇な運命が戦後史を変えた!
  世紀のピカレスク、堂々開幕

【「ハゲタカ」の著者が挑む、職業としての医師】
◆真山 仁/医は……
――医学界に君臨する親友から、突然もたらされた出世話の裏には

◆江上 剛/派閥の谷間
――貸出金増強か、規律重視か。旧行閥の対立はバブルに燃えた
◆榊 邦彦/プレイボール
――もっと高く、もっと遠くへ。懐しいあの玩具を僕らが作る理由
◆里見 蘭/春を奔る
――料理しか能がない見習い探偵佐藤生良。初事件の鍵は野菜!
◆井口ひろみ/その道の先
――マスクで顔を隠す塾講師は、商売繁盛の招き猫に何を願う

【新連載トラベルミステリー】
◆西村京太郎/岐阜羽島駅25時
――高齢の資産家が服毒死。十津川は不老不死を謳う奇書を追う

【集中連載】注目の気鋭、本誌初登場
◆中路啓太/豊国神宝 第一話 阿弥陀ヶ峰異聞
――太閤秀吉が遺した謎の宝を巡り、非情な戦が幕を開ける!

【傑作読切シリーズ】
◆小池真理子/夜噺
――こんな夜の問わず語りには、雨の匂いが連れてきた古いお話を
◆北村 薫/シコタマ仮面とシタタカ姫 飲めば都
――先輩に誘われ飲みに行った都さん。これがケチのつき始め……
◆三浦しをん/星くずドライブ
――紗絵はいつも僕のそばにいる。実は、もう死んでいるのだが
◆山本幸久/愛は苦手
――色恋をとうに諦めて針を動かす茂絵の前に、トンデモ客が現れた
◆有川 浩/キケン
――ロボット相撲大会の決勝戦。【機研】の抱負はただひとつだ!

【快調時代読切】
◆乙川優三郎/細小群竹
――無力な父。疲れた母。貧しい家族を背負った髪結いの女の気迫
◆松井今朝子/停車場の出陣
――西南戦争勃発。開化の世では、町人も戦に駆り出されるのか……
◆北原亞以子/一人息子 慶次郎縁側日記
――父はきっと知っている。大店を飛び出した俺が豆腐屋で働くのを

第二十八回「新田次郎文学賞」決定発表

【特集:女性作家 官能の系譜】

【名編再録】
◆真杉静枝/雨情
――怪しげな事業の金を拐帯した老人。出獄を
迎えたのは、かつて一晩だけ愛した女だった
◆瀬戸内寂聴/色ざんげ
――「女将さんはほんとに可愛い人だねえ」
60歳の元芸者を乙女にさせる、最後の恋
◆戸川昌子/人形の舟
――五人の男と女一人を乗せた筏。実験航海に
出たわたしの役目は、男たちのダッチ・ワイフ

【解説】
◆南 綾子/性愛的サービス精神

「女による女のためのR-18文学賞」決定発表

【大賞】窪 美澄/ミクマリ
――コスプレ好きの主婦と高校生の俺。これは尋常な性生活か?

【集中連載】
◆海堂 尊/マドンナ・ヴェルデ

【好評連載小説】
◆赤川次郎/子子家庭の宅配便 前編
◆北森 鴻/鏡連殺
◆高橋克彦/鬼哭鬼九郎
◆貫井徳郎/灰色の虹
◆宮部みゆき/ソロモンの偽証

【連載エッセイ】
阿刀田 高/イソップを楽しむために
嵐山光三郎/文士の舌
太田和彦/居酒屋百名山
柴門ふみ/恋のタネ
山田詠美/ライ麦畑で熱血ポンちゃん
山本益博/マスヒロのあくび指南
河口俊彦/盤上の人生 盤外の勝負
フジモトマサル/終電車ならとっくに行ってしまった

第六回「新潮エンターテインメント大賞」募集要項
川柳うきよ大学/小沢昭一
次号予告

編集長から

「仕事」って何だろう
 派遣切り、内定取消、失業率の悪化と、仕事について考えさせられるニュースが続いて久しい。「まず何をやりたいか決めないと難しいな」と有難いアドバイスをする首相もいれば、「ハローワークに通っても面接にさえ辿り着けない」との声もある。
 今月の小説特集は「ビジネス小説最前線」。国際金融やM&Aよりも、本来の意味のビジネス――仕事、職業をテーマにした特集となった。映画も話題の「ハゲタカ」の著者、真山仁氏は、職業人としての医師の生き方を問いかける。江上剛氏はバブル直前の銀行員の矜持を、榊邦彦氏は玩具メーカーの閑職社員の心意気を描き出す。楡周平氏の新連載「虚空の冠」は、新聞記者の数奇な運命に戦後史を重ね合わせた巨編になる。
 もう一つの特集は「女性作家 官能の系譜」。昭和に書かれた真杉静枝、瀬戸内寂聴、戸川昌子の名編再録に対し、「女による女のためのR-18文学賞」大賞受賞作が系譜の最先端を示す。


小説新潮編集長 高澤恒夫

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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