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特集:官能小説グラマラス

小説新潮 2009年10月号

(毎月22日発売)

特別定価859円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2009/09/19

発売日 2009/09/19
JANコード 4910047011098
定価 特別定価859円(税込)

【特集:官能小説グラマラス】

◆団 鬼六/旅路の果て──倒錯一代女
――かつて悦虐の限りを尽くされた温泉宿で、女将は昔の愛人を待つ。三十余年前、甘い緊縛に耽ったのもこの部屋だった

◆大石 圭/エクスワイフ
――「亜里紗を今夜、買わせてくれないか」一週間前まで妻だった美しい女に、わたしは札束と罰を与えることにした

◆南 綾子/スライダーが投げられない
――ショートの緑山さん。あたしは今、あんたの旦那と二人きり

◆唯野未歩子/犬笛
――自殺した夫の、私は犬。電車の中、彼の遺品で行為に溺れる

◆三日月 拓/くさい。死にたい
――おじさんだけが、あたしをあの音とにおいから遠ざけてくれる

◆蛭田亜紗子/ラバーズ・ラヴァー
――私はゴムとセックスするのが好きなのだ。不感症ではない

【特別読物】
◆高平哲郎(放送作家・演出家)/ぼくのローリング80's 落語的ジャズの日々
――山下洋輔がいてタモリがいて赤塚先生がいた。ひたすら飲み、ハナモゲラが誕生し、そしていつも、ジャズがそこにあった…。

【二大新連載】
◆石田衣良/明日のマーチ
――僕たちは派遣だ。簡単に職はなくなった。とにかく東京に帰らなくちゃ。そしたら一人が言ったんだ、「歩いて帰る」って――

◆飯嶋和一/星夜航行
――逆臣の遺児ながら、男は稀有な才と品性で宿命を変えた。だが再び家康の配下に追われる身に。歴史小説の偉才、待望の初登場

【傑作読切】
◆北村 薫/軽井沢の夜に消えた 飲めば都
――あの老大家が久々に書く!? 都さんは急遽、夏の軽井沢へ

◆松井今朝子/彼岸の声 銀座開化おもかげ草紙
――西では戦の真っ只中。でもここ東京にも、消えそうな命が

◆北原亞以子/柿紅葉 慶次郎縁側日記
――嫁と折合わず独居中のお豊にもたらされた、悪い報せとは

【集中連載】
◆海堂 尊/マドンナ・ヴェルデ
◆中路啓太/豊国神宝 第五話 忍びの情人

【特集:脳の秘密、身体の謎】
【課外授業対談】池谷裕二×中村うさぎ/オトナのための脳科学
――海馬研究に没頭する脳科学者と、女の欲望を体現し続ける作家が語る、性と脳、お金と脳、病と脳の不思議な関係

【ガチンコ体験エッセイ】辛酸なめ子/辛酸なめ子のはり120本
――やっぱり痛い? 本当に効くの? 人生まで変えると評判の、カリスマ鍼灸師の秘技!

【インタビュー】私の健康法 聞き手 佐野郷子
奥田英朗/篠田節子/西澤保彦/松井今朝子/山本一力
――不摂生、不健康な毎日をチェンジ! 水泳、ランニング、玄米菜食…五人の作家が実践したヘルシーライフの秘訣

【未知の境地へ】山口真美/瞑想というトレーニング
――静かに目を閉じ、感覚に集中する──日常から隔絶された体験の中で、気鋭の心理学者が行き着いた「悟りの境地」

【好評連載小説】
赤川次郎/子子家庭の身代金 前編
北森 鴻/鏡連殺
高橋克彦/鬼哭鬼九郎
西村京太郎/岐阜羽島駅25時
貫井徳郎/灰色の虹
宮部みゆき/ソロモンの偽証

〈連載第二回〉
佐藤 優/落日の帝国 私のイギリス物語

【連載エッセイ】
阿刀田 高/イソップを楽しむために【最終回】
嵐山光三郎/文士の舌
太田和彦/居酒屋百名山
柴門ふみ/恋のタネ
山田詠美/ライ麦畑で熱血ポンちゃん
山本益博/マスヒロのあくび指南
河口俊彦/盤上の人生 盤外の勝負
フジモトマサル/終電車ならとっくに行ってしまった

第八回「小林秀雄賞・新潮ドキュメント賞」決定発表
第六回「新潮エンターテインメント大賞」募集要項
川柳うきよ大学/小沢昭一
次号予告

編集長から

官能と脳の不思議な関係
 団鬼六氏の『往きて還らず』が好評である。著者の父の実体験に基づいて、三人の特攻隊員と一人の美女の性愛と死を描いた入魂作。その気迫が伝わったのだろう。しかし団氏には、一つの憾みがあった。被虐と嗜虐の巨匠として、今回は永年の主題を展開できなかったことだ。
 今回の特集「官能小説グラマラス」に団氏が寄せた百二十枚「旅路の果て──倒錯一代女」は、その渇きを存分に癒すものとなった。被虐趣味の夫と名前だけの夫婦となった若妻が、悪魔の如き男に自らの被虐願望を指摘され、思いも寄らぬ運命を辿る。老いた情夫と再会するまで、三十有余年の時の遠隔を描く筆は圧巻である。さらに本誌初登場の大石圭氏ほか全六編。
 もう一つの特集は「脳の秘密、身体の謎」。脳科学者・池谷裕二氏と中村うさぎ氏の対談では、性と脳の不思議な関係が明かされる。辛酸なめ子氏のカリスマ鍼灸師初体験、人気作家の「私の健康法」と、今月は身体とに迫る。


小説新潮編集長 高澤恒夫

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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