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特集:大人の胸打つ小説集

小説新潮 2010年4月号

(毎月22日発売)

特別定価901円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2010/03/20

発売日 2010/03/20
JANコード 4910047010404
定価 特別定価901円(税込)

特集:大人の胸打つ小説集

◆重松 清/てるテール娘
──マキとフミはきょうだいになって三ヶ月。ひとりぼっちに強いことと、それが好きだということは、違う──

◆藤田宜永/還暦探偵
──定年男二人。時間だけはある。そこへ、同級生の会長夫人からある依頼が。よし、俺たちは「ハワイアン・アイ」だ……

◆荻原 浩/レシピ
──すべては料理で蘇る。レシピノートに記録された里瑠子の半生

◆諸田玲子/ベリーニ
──こんな主婦にまさかあんなことが。世の中、一筋縄ではいかない

◆帚木蓬生/香水
──三人の若き兵士の最期の思いに触れて、新人軍医がとった行為は

◆唯野未歩子/しろくま
──娘の誕生で母になってしまった妻よ。僕を、思いだして欲しい

【人気読切連載】
◆畠中 恵/花の下にて合戦したる しゃばけ
──桜の名所へ、いざ行かん。若だんな、初のお花見も波瀾万丈!?

【総天然色付録スタート】
◆しゃばけ花札
──妖、大活躍の特製花札。オール描き下ろしで登場!

【傑作読切】
◆北原亞以子/おふくろ 慶次郎縁側日記
──色黒で小太りで不潔、働くしか能のないこの女が俺の母親か
◆北村 薫/カクテルとじゃがいも 飲めば都
──東京・青山。名門バーで都会的憂愁に沈む男のカクテル指南

【集中連載・ノンフィクションノベル】
◆平山 讓/サッカーボールの音が聞こえる
──失明し苦悩する宏幸は、もう一つのサッカーの存在を知った

【集中連載】
◆宮木あや子/ガラシャ
──秘めた恋を捨て、夫の許に戻った玉子。が、夫には側室が

【連載第二回】
◆大沢在昌/冬芽の人
──人なんか合法的に殺せる。嘯く男に、しずりの心は揺れる
◆あさのあつこ/たまゆら
──父親を刺殺して逃亡した初恋の人は、山へ入ったのか……

【追悼 北森 鴻】
◆愛川 晶/北森鴻さんと『鏡連殺』
──完結目前だった長編ミステリーに刻まれた、作家の熱意と気骨

官能クラシックス 名編再録
特集:あの官能をもう一度

◆川上宗薫/覗き
──美人教師が隣室に。おれと彼女を阻むのは薄いベニヤの壁だけ

◆宇能鴻一郎/湯野君のセクスアリス
──人妻との初体験、その鮮烈な驚き――。限りなく実話に近い私小説

◆野坂昭如/初めて
──愛していない、でも――二十歳年上の男に誘われるまま女子高生は

【二大新連載開始!】
◆池井戸 潤/鋼のアリス
──ワンマン企業に吹き荒れるリストラの嵐。屈辱を胸に男達の反撃が始まる
◆西 加奈子/白い徴(しるし)
──彼が描いた白い富士山に圧倒された私は、たった数時間で恋に落ちた

【集中連載 怒濤の最終回】一挙百六十枚
◆福田和代/タワーリング
──社長を道連れに逃走する犯人は、封鎖された路上から忽然と消えた!!

【好評連載小説】
赤川次郎/子子家庭の下宿人 後編
飯嶋和一/星夜航行
石田衣良/明日のマーチ
白川 道/神様が降りてくる
楡 周平/虚空の冠
貫井徳郎/灰色の虹
宮部みゆき/ソロモンの偽証

【連載エッセイ】
嵐山光三郎/文士の舌 最終回
柴門ふみ/恋のタネ
酒井順子/徒然草REMIX
佐藤 優/落日の帝国 私のイギリス物語
山田詠美/ライ麦畑で熱血ポンちゃん
河口俊彦/盤上の人生 盤外の勝負

第二十二回「日本ファンタジーノベル大賞」募集要項
第七回「新潮エンターテインメント大賞」募集要項
川柳うきよ大学/小沢昭一
次号予告

編集長から

小説は大人のために
 今月の小説特集は「大人の胸打つ小説集」と題した。巻頭は重松清氏の「てるテール娘」。主人公は小学校四年生のフミと、六年生のマキ。二人は姉妹になってまだ三ヵ月。戸惑われる読者もおられよう。しかし読み進めていただけば、まぎれもなく大人のために書かれた小説だと納得されるはずだ。とりわけ、何歳になっても成長を信じる大人のために――。
 特集は藤田宜永氏、荻原浩氏、諸田玲子氏とつづき、全六編。いずれも大人の夢と現実が詰まっている。もうひとつの特集も大人向け。特集「あの官能をもう一度」では、川上宗薫氏、宇能鴻一郎氏、野坂昭如氏の名編をプレイバック。エロスにも昭和の匂いが立ちこめる。
 さらに今月から特別付録として「しゃばけ花札」がスタート。四月は「藤」の四枚。切り取って一年で四十八枚が揃う。春は新たな出発の季節。小説新潮も次号から編集長が交代します。今後ともご愛読をお願いいたします。


小説新潮編集長 高澤恒夫

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞