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特集:時代小説 夕涼み

小説新潮 2010年8月号

(毎月22日発売)

特別定価901円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2010/07/22

発売日 2010/07/22
JANコード 4910047010800
定価 特別定価901円(税込)

【特集:時代小説 夕涼み】

蓬莱屋帳外控
◆志水辰夫/峠ななたび
──播磨へ大名飛脚に赴いた吟二郎。曲者侍に付きまとわれた挙句、お家騒動に巻き込まれる。舞台は西国から雪の北国街道へ

古手屋喜十 為事覚え
◆宇江佐真理/仮宅
──喜十の見世近くに吉原の臨時の見世が打たれた。着物から人の生き様に感応する喜十は、ある粋な女の客に胸騒ぎを覚える

◆諸田玲子/ボタモチと恋 お鳥見女房
──里の縁談にわく雑司ケ谷。でも珠世の気がかりは久太郎の密偵のお役目

◆犬飼六岐/源平糸引蜘蛛
──竹次郎が踏み潰した“牛若丸”は、寺子屋のお師匠さん自慢の蜘蛛だった

◆安住洋子/春の雨 小石川診療余話
──看護人が博打と賄賂に溺れる小石川養生所。しかし伊佐次だけは違った

◆西條奈加/千両役者
──まだまだ二流の「鱗や」に、若旦那は食通の役者・小村伴之介を招くという

◆田牧大和/秋桜
──謎めいた想い人とのめくるめく逢瀬。運命を変えた晩、全ての音が消えた

【最強時代小説連載】

第二回
◆山本一力/べんけい飛脚
──浅田屋に持ち込まれた、幕府と加賀藩、七十三年前の因縁話とは

◆飯嶋和一/星夜航行
──本能寺にて信長死す――。戦火の噂で混乱する堺で甚五郎は…

◆荒山 徹/蓋島伝――長宗我部元親秘録
──元親絶体絶命の大ピンチ! 修行中の雲助は主君を救えるか!?

【人気読切連載】
◆北村 薫/王妃の髪飾り 飲めば都
──私のアレがない! 泥酔の翌朝に都さんを襲うミステリー
◆江上 剛/決壊の朝
──総会屋への不正融資。大銀行の悪しき伝統にメスは入るのか

【12ヶ月連続 総天然色付録】しゃばけ花札

【独占手記 第二弾】
◆団 鬼六/残日録・夏――惜命の旅
――死への憧憬を捨てた途端、ガンは襲ってきた。揺らぐ心に去来するのは

【連載エッセイ】
柴門ふみ/大人の恋力
酒井順子/徒然草REMIX
佐藤 優/落日の帝国 私のイギリス物語
山田詠美/ライ麦畑で熱血ポンちゃん
河口俊彦/盤上の人生 盤外の勝負
櫻井よしこ/母と過ごす至福の日々

【連載最終回】
◆赤川次郎/子子家庭のヴァージンロード 後編
――困った親のせいで結婚できない新郎新婦。律子は二人を救えるか!?

【好評連載小説】
あさのあつこ/たまゆら
池井戸 潤/鋼のアリス
石田衣良/明日のマーチ
大沢在昌/冬芽の人
今野 敏/転迷 隠蔽捜査4
佐々木 譲/警官の条件
谷村志穂/尋ね人
西村京太郎/阪神間三十六・九キロの殺人
楡 周平/虚空の冠
貫井徳郎/灰色の虹
宮部みゆき/ソロモンの偽証

第二十二回「日本ファンタジーノベル大賞」候補作発表
第六回「新潮エンターテインメント大賞」中間結果発表
第七回「新潮エンターテインメント大賞」募集要項
川柳うきよ大学/小沢昭一
次号予告

編集長から

夏の夜更けの楽しみは冷たいビールと人情話
 蒸し暑い夏の夜の過ごし方は色々とあるが、冷たいビール片手に読書、というのは、リーズナブルな上に、かなり贅沢な時間の遣い方ではないだろうか。場所が縁台で、遠くに花火が上がっているのが見えたりすれば最高なのだが、今日日、なかなかそういうシチューエーションには出会えない。
 ならばせめて小説の中で堪能していただきたいと、今月は時代小説の特集をお贈りする。志水辰夫、宇江佐真理、諸田玲子、犬飼六岐、安住洋子、西條奈加、田牧大和氏ら七本の読み切りに加え、山本一力、飯嶋和一、荒山徹氏ら三本の連載で、合計豪華十本立て。
 失われつつある日本の風情や人情が、そこに必ずあるはずである。文字だけで、眼前の風景どころか、時間をも超える小説の力。それを最も端的に味わえるのが時代小説だろう。
 また、前回大きな反響を呼んだ団鬼六氏のガン闘病手記の第二弾も掲載。


小説新潮編集長 新井久幸

バックナンバー

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小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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