ホーム > 雑誌 > 雑誌詳細:小説新潮 > 雑誌詳細:小説新潮 2011年7月号

第24回山本周五郎賞決定発表 【受賞作】窪 美澄『ふがいない僕は空を見た』(抄)

小説新潮 2011年7月号

(毎月22日発売)

943円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2011/06/22

発売日 2011/06/22
JANコード 4910047010718
定価 943円(税込)

【第24回山本周五郎賞決定発表】

【受賞作】窪 美澄『ふがいない僕は空を見た』(抄)
──「小説の王道」「驚くべき力量」「真の才能」「ただただ圧倒された」「新たな頂点」……選考委員五名の満場一致で受賞した、著者のデビュー作。

【受賞記念 特別寄稿】父を山に棄てに行く
──受賞の覚悟を込めて淡々と綴られた、重い半生。

【選評】浅田次郎/北村 薫/小池真理子/重松 清/篠田節子

【歴代受賞作家 読み切り競演】

◆帚木蓬生/
──大東亜戦争末期のサイゴン。隔離病棟で知り合った野波中尉は石川啄木を愛する歌詠み軍人。折に触れ、下手糞な短歌を私に披露するが…

◆今野 敏/漏洩 隠蔽捜査外伝
──公表前の逮捕情報が新聞にすっぱ抜かれた。どこから洩れたのか? 誤認逮捕の可能性も浮上し、大森署副署長の貝沼は窮地に立たされる

◆垣根涼介/ノー・エクスキューズ 君たちに明日はないPART4
──リストラ請負人。この仕事の意味とは。ふさぎがちな真介に、社長の高橋が聞いてきた。「おまえ、団塊の世代を面接したこと、あるか?」

◆貫井徳郎/公立殺人クラブ
──溺死体で発見された反原発の急先鋒。不審な点はなく、事故死との見方が強まるが、警視庁の風間は「都合のよすぎる死」に疑念を抱く

◆恩田 陸/台北小夜曲(タイペイセレナーデ)
──闇にぼっと浮かぶバーの光。屋台に漂う八角の香り。意味のとれない誰かからのメール。異国の街角を、記憶の中の光景を求めて彷徨う男

◆宇月原晴明/殺生石
──平安の世、呪われた東国へ下った一人の侍。忌まわしい大災厄の後、人気の絶えた禁足の地で出会ったのは、目を疑う異形の行列だった

【好評読み切り短編】

◆加藤 廣/神君家康の密書
──天下分け目の戦が迫る。福島正則は暗躍する家康とある密約を結ぶが

◆さだまさし/空蝉風土記 金沢・夜神、または阿神吽神
──能登半島の小さな村・畦神には、数百年も続く奇妙な祭りがあるという

◆原田宗典/いま時間が身を傾けて
──ふと蘇る、幽閉された青春時代の記憶。それがおれの胸を掻き乱す

【連載エッセイ・コラム】
阿刀田 高/源氏物語を知っていますか
柴門ふみ/大人の恋力
嶽本野ばら/地嶽八景亡者戯
山田詠美/熱血ポンちゃんから騒ぎ

【江戸のもてなし】
◆巻頭グラビア/福田 浩・松下幸子
◆連載エッセイ/松井今朝子
──様々な日記や記録をもとに、江戸の宴会を再現する好評連載

【新連載スタート】

◆佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
──神学を志す若者がチェコへ思いを募らせた日々。自伝的エッセイ第二部

◆高橋秀実/僕たちのセオリー 実録・開成高校硬式野球部
──練習環境に恵まれぬ進学校の野球部には、“弱者なりの兵法”があった

【連載第二回】

◆赤川次郎/月光の誘惑
──見ず知らずの女性が私の前で幼子を置いて自殺した! そして十数年…

◆西村京太郎/サンライズ出雲殺人事件
──寝台特急の爆破から難を逃れた謎の男。十津川警部はその行方を追う

【追悼 団 鬼六】

初の本格評伝 連載開始
◆大崎善生/赦しの鬼 団鬼六の生涯
──連載開始の直前、男は七十九年の生涯を閉じた。最後まで「団鬼六」を演じたまま――起伏多き人生の知られざる実像が、いま明かされる。

【追悼エッセイ】行方尚史/一視同仁の人

【好評連載小説】
浅田次郎/赤猫異聞
荒山 徹/蓋島伝――長宗我部元親秘録
飯嶋和一/星夜航行
池井戸 潤/鋼のアリス
大沢在昌/冬芽の人
柴田よしき/さかさまの物語III 名前のない古道具屋の夜
白川 道/神様が降りてくる
橋本 紡/ハチミツ
蜂谷 涼/鬼の捨て子
葉室 麟/春風伝――高杉晋作・萩花の詩
本多孝好/魔術師の視線
宮部みゆき/ソロモンの偽証
山本一力/べんけい飛脚

第八回「新潮エンターテインメント大賞」募集要項
次号予告/編集後記

編集長から

満票で決まった受賞作
 今年の山本周五郎賞は、満票で受賞が決まった。ただ全員が○を付けたというだけでなく、賛辞を惜しまない、という言葉がぴったりの評価だった。
 山本周五郎賞の選評は、異例というくらいの長さの分量で書いていただいているから、選考会の雰囲気や議論は、かなり細かく伝わるとは思うが、それでも、議論の密度や熱気は、あの場でしか味わえない貴重なものだ。どれだけ作品を読み込んだつもりで挑んでも、必ず「そういう読み方があったのか」とはっとすることがあるし、自分の読みの浅さを思い知ることになる。これ以上ない勉強の場だ。選考会は、とても緊張するが、同時にとても楽しみにしている日だった。
 その読み巧者達が揃って太鼓判を押した受賞作が、『ふがいない僕は空を見た』。抄録を掲載したが、是非、単行本で順番に全編を読んでいただきたい。また、受賞記念でご寄稿いただいた「父を山に棄てに行く」も必読。窪美澄という作家の底知れぬ凄みは、この作品を読むだけでも充分お分かりいただけると思う。


小説新潮編集長 新井久幸

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞