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Story Seller 2013 乾 緑郎/有栖川有栖/舞城王太郎/法条 遥/米澤穂信

小説新潮 2013年5月号

(毎月22日発売)

特別定価1,047円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2013/04/22

発売日 2013/04/22
JANコード 4910047010534
定価 特別定価1,047円(税込)

Story Seller 2013

旅と読書は親和性が高い。
移動中、滞在先、ちょっとした待ち時間――。
本を携えた旅は、意外な場面で
土地の記憶をつないでくれる。
随分前に北海道を旅行した際、釧路の古本屋で、
ずっと探していた絶版本を見つけて驚喜したことがある。
そのまま近くの喫茶店に入り、
閉店で追い出されるまで読み続けていた。
今でもその本を手に取ると、
路地裏にあった小さな古本屋と、
ややバネがくたびれた喫茶店の椅子の感触がよみがえる。
こうして本棚のあちこちに、旅した土地の記憶が残っていく。
それが嬉しくて、ついつい旅先で本を買い込んでは、
荷物を増やしてしまうのである。

◆乾 緑郎/箱の中のヘラクレス
――湯屋で働く力士・天徳。その人気を見込まれ、大事な一番での八百長が持ちかけられるが

◆有栖川有栖/線路の国のアリス
――アリスが迷い込んだ常識の通用しない奇天烈な世界。乗り込んだ電車もおかしな乗客ばかりで

◆舞城王太郎/Kung Khamooi Was A Loaded Son Of A Bitch
――元ムエタイ王者の相棒が、妹の電話に緊張している。彼女は「世界を戸惑わせる」存在らしい

◆法条 遥/桃太郎殺した責任とって爺さんが鬼退治に行くらしい
――すべてが裏目に出る編集と爺さんの珍道中。しかし、鎌を持った途端、えっ、爺さん……

◆米澤穂信/関守
―― 一年に一件、車が落ちて人が死ぬというこの峠に、ネタを探すライターの俺はやってきた

【新シリーズ スタート】
◆垣根涼介/トーキョー・イーストサイド 君たちに明日はないPART5
――この町で、まりえはいつもトップだった。でも川の向う側では

【連載第二回】
◆安部龍太郎/冬を待つ城
――宗家への正月参賀拒否の真意を質さんと、長兄を訪ねた政則は

◆石井光太/蛍の森
――父が犯人なのか? 因習に縛られた村で息子は真相を追うが……

◆早見和真/イノセント・デイズ
――死刑判決の新聞を読んだ医師に、ある朝の記憶が蘇る――

◆山本幸久/アシタ、デキル?
――ぎっくり腰になって益々冴えない小絵子。思いついた就職先は

【好評読み切りシリーズ】
◆荻原 浩/それは言わない約束でしょう
――皆が怒ってる理由がわからない。俺が何をしたと言うんだ!

◆畠中 恵/たぶんねこ しゃばけ シリーズ最終話
――巾着に入って江戸に来た幽霊。何やら思い詰めた様子で……

◆真山 仁/「さくら」
――転勤してきた若い女性教師は、生き残った自分を責めていた

【追悼 北原亞以子さん】
――自らの苦労を、江戸市井の人々の人生に重ね、きれいな花を咲かせた

池内 紀/「でも、ま、いいか」
蓬田やすひろ/感謝しか、ありません

【好評連載小説】
赤川次郎/月光の誘惑
飯嶋和一/星夜航行
京極夏彦/ヒトでなし
桐野夏生/抱く女
佐々木 譲/獅子の城塞
柴田よしき/持てないバケツIV 名前のない古道具屋の夜
白川 道/神様が降りてくる
仙川 環/マテリアル・ライフ
嶽本野ばら/傲慢な婚活
野中 柊/波止場にて
乃南アサ/水曜日の凱歌
平岩弓枝/私家本 椿説弓張月
山本一力/べんけい飛脚

【連載エッセイ】
北村 薫/うた合わせ
柴門ふみ/大人恋愛塾
酒井順子/地震と独身
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
高山なおみ/今日もいち日、ぶじ日記
ペリー荻野/ちょんまげ ザ・バトル
宮城谷昌光/随想 春夏秋冬
山田詠美/時計じかけの熱血ポンちゃん

第二六回「山本周五郎賞」候補作発表
第二五回「日本ファンタジーノベル大賞」募集要項
次号予告/編集後記

編集長から

五倍お得な(当社比)小説雑誌
「小説新潮」に異動して四年目、最近、エンターテインメントに関しては、自社刊行物に詳しくなった。理由は簡単で、雑誌掲載時に読んでいるからである。一年でどのくらい本が「小説新潮」から生まれているか調べてみると、何らかの形で「小説新潮」がかかわった本は、およそ年間で三十五冊前後あった。
 単行本一冊が一五〇〇円くらいとすると、三十五冊で五二五〇〇円。一方、「小説新潮」は定価九〇〇円で、特別定価のときが一〇〇〇円。仮に毎月特別定価であったとしても、年間一二〇〇〇円で済む。もちろん、任意の十二ヶ月ですべての連載が完結するわけではないが、かなりリーズナブルだ。
「本になってから読めばいいや」と思ってきた皆さん、雑誌で小説を読むのは、かようにお得な行為であります。是非、「小説新潮」のある生活をご検討下さい。定期購読をお申し込みいただければ、今なら特製文庫ブックカバーが付きます!


小説新潮編集長 新井久幸

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞