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特集【第27回山本周五郎賞決定発表】

小説新潮 2014年7月号

(毎月22日発売)

947円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2014/06/21

発売日 2014/06/21
JANコード 4910047010749
定価 947円(税込)

特集【第27回山本周五郎賞決定発表】

【受賞のことば】米澤穂信

【選評】石田衣良/角田光代/佐々木 譲/白石一文/唯川 恵

受賞作『満願』(抄)
――学生時代の恩人が殺人犯に。現場にあった達磨には…

受賞記念特別寄稿「ほたるいかの思い出」
――何気なく作った酒のつまみに、夫が語り出したこととは

【歴代受賞作家読み切り競演】

◆帚木蓬生/歩く死者(デッド・マン・ウォーキング)
――最先端の医療の陰で、そこからこぼれ落ちる人々が――

◆熊谷達也/ラッツォクの灯(ひ)
――仮設で妹と二人暮し、翔平はがむしゃらに生きるしかない

◆荻原 浩/マスク
――これ一つで別人に。人目の煩わしさから解放された俺だが

◆白石一文/わたしのリッチ
――可愛くて少し病弱な愛猫、夫はあまり好きじゃないみたい

特集【夏の時代・歴史小説祭り】

◆西條奈加/雁金貸し 善人長屋
――質屋という家業を嫌って嫁に出た姉が、金貸しの騙りに遭うとは

◆植松三十里/八犬伝の筆
――八犬伝の大団円目前、馬琴が光を失った。如何にして書き継ぐか

◆天野純希/承禎の妄執
――天下は目前だったのに――滅亡を前に、承禎の脳裏に浮かぶ影とは

◆藤原緋沙子/甘酒
――恩返しのため夜鷹に甘酒を売るおきみ。そこへ流れてきたのは……

◆梶 よう子/とんとん、かん みとや・お瑛仕入帖
――老船大工にお瑛がした密かな頼みごとが、思わぬ波紋を広げ……

◆澤田瞳子/南海の桃樹
――朋友との約束の嶋牌(しまふだ)がない――彼の仕打ちとは思えない吉備真備は

◆梓澤 要/
――身を粉にして働く自分にひきかえ、弟は。業を煮やす家持だったが

【時代小説新連載】
◆飯嶋和一/翼人のかたみ
――お上に絶対服従の江戸時代、自ら裃を捨て、自由に生きる男がいた

【特別読み切り】
◆赤川次郎/あるVIPの日々(前編) シリーズ「闇からの声」
――ごく普通の丸の内OL内山亜紀子に近づくスーツの男。その正体は

【シリーズ「しゃばけ漫画」】
みもり/十一ノ巻 仁吉の思い人
――日本橋一の美丈夫と名高い仁吉にも、切ない千年の片思いがあった

【好評グラビア】
◆グラビア 青山裕企/お仕事ちゃん
――子供が親の職場で働いてみたら? 大人気の写真家が写し出す親子像

【連載第二回】
◆中脇初枝/川にすむ神は水にくすぐられてわらう
――あたしの目はいつも彼に捕まってしまう。夏が、夜が、二人を見ていた

◆西村京太郎/金沢が歴史を創った日
――戦争継続を狙う各国に、日本降伏の噂。原因はある単語だという

【連載コラム】
◆本の森
――新刊文芸書の中から、選りすぐりのお薦めを紹介
〈歴史・時代〉田口幹人/〈SF・ファンタジー〉石井千湖

【好評連載小説】
あさのあつこ/ゆらやみ 最終回
阿刀田 高/朗読者 絵のない肖像7
伊東 潤/死んでたまるか
江上 剛/鬼忘島 金融検査官・伊地知の密命
小川 糸/サーカスの夜に
木内 昇/球道恋々
柴田よしき/最後の選択II 名前のない古道具屋の夜
乃南アサ/水曜日の凱歌
葉室 麟/鬼神の如く 黒田叛臣伝
原田マハ/暗幕のゲルニカ
森 達也/チャンキ
山本一力/マックでよい
山本幸久/アシタ、デキル?

【連載エッセイ】
北村 薫/うた合わせ
柴門ふみ/大人恋愛塾
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
椎名 誠/じいじいのヨロコビ
ペリー荻野/ちょんまげ ザ・バトル
山田詠美/時計じかけの熱血ポンちゃん

第二回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告/編集後記

編集長から

困難の果てに得た「満願」
 第27回「山本周五郎賞」は、『満願』(米澤穂信)に決定した。新選考委員になってから三度目にして初の、ほぼ満票に近い支持を得ての受賞だった。『満願』は、今どき珍しい、連作でもなく、明確な縛りもない短編集である。
 日本の小説市場は、圧倒的に長編が強いから、独立した短編だけを集めた作品集は分が悪いとされる。実際、部数は少なくなるし、そうなると、刊行点数も減っていく。
 それでも、ミステリの醍醐味は短編にあると思っている人も多いはずだ。連作は、世界観が定まって読みやすい反面、それが制約となって自由な謎を設定しにくくなることがある。
 一つ一つ丁寧に謎の肝を煮詰め、どこまでミステリの可能性を広げられるか試してみたい。そんなチャレンジが六つ並んだのが、『満願』なのだと思う。
 不利、とされることに敢えて挑み、大きな成果を実らせた短編集に、心から敬意を表したい。


小説新潮編集長 新井久幸

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小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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