【ミステリ特集】胸を貫く真実の弾
今野 敏/杉井 光/井上真偽/くわがきあゆ/京橋史織/青本雪平/青波 杏/相川英輔
小説新潮 2025年10月号
(毎月22日発売)
発売日 | 2025/09/22 |
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JANコード | 4910047011050 |
定価 | 1,000円(税込) |
【ミステリ特集】胸を貫く真実の弾
◆今野 敏/不和 隠蔽捜査外伝
──都内から神奈川県内へと逃亡した殺人犯。犯行の動機は
◆井上真偽/朝顔の嘘
──東京から転校してきたあの子が気に入らない千代は……
◆くわがきあゆ/細身の義姉
──ポケットに潜ませた薬の小袋。これを使えばきっと──
◆青波 杏/あの夏の魔法をさがして
──遠い異国で味わった、思い出の母の味。だけど今はもう
◆青本雪平/六度目の誘拐
──深夜。タクシーの乗客が語る、前代未聞の誘拐劇とは
◆京橋史織/あの日の食卓
──二冊のレシピノートと、消えた一ページ。鍵を握るのは
◆相川英輔/えんじるきかい
──“脳”の衰えを案じて娘が連れてきたのは、亡き妻!?
◆杉井 光/石のスープ
──幼いころに食べた「石のスープ」に隠された秘密とは
第十二回「新潮ミステリー大賞」決定発表
〈優秀賞〉
◆九能式 尚/彼女の終幕(抄)
──怪しげなバイトに誘われた大学生の僕。孤島に館に探偵(の娘)、とくれば……
〈選評〉
道尾秀介/湊かなえ
【特選読み切り】
◆森バジル/高じる、櫛田
──涙した経験なしに、泣きの演技をするにはどうしたら?
◆篠田節子/終の棲家 後編
──ここは楽園? いいや、魔窟だ。それでも呟く、一人上等
【連載第二回】
◆小池真理子/ソリチュード
──「散文小説」の世界で甦る、記念切手のような記憶たち
【連載エッセイ・ノンフィクション・マンガ】
◆彬子女王×池辺 葵/赤と青のガウン
◆ガク(真空ジェシカ)/饅頭以外ぜんぶこわい
◆こうの史代/かぐやサン
◆西原理恵子/ねこいぬ漫画かき
◆東村アキコ/おんな追分
◆群ようこ/じじばばは生きている
◆山脇りこ/ソロソロ、ひとり 私のためのひとりじかん
【新作映画紹介】
◆紙の上の映画館
◆本の森──新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈仕事・人生〉吉田大助
〈SF・ファンタジー〉北村浩子
〈医療・介護〉杉江松恋
【好評連載小説】
◆あさのあつこ/シクヌノ
◆奥田英朗/府中某重大事件
◆小林早代子/よう言わんわ 最終回
◆早見和真/ハンセイ
◆宮城谷昌光/掌中小説 塞外の天子
【バラエティコラム】
〈もういちど会いたい〉宇野 碧
〈わたしの相棒〉中野貴至
第二十四回「小林秀雄賞・新潮ドキュメント賞」決定発表
第十三回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告
この号の誌面
編集長から
書き手の思い溢れる「新潮ミステリー大賞」受賞作
今年で第一二回を迎えた新潮ミステリー大賞。選考委員の道尾秀介さんが「本当に面白かった」、湊かなえさんも「一番平均点の高い回」と評した通り、最終選考には粒ぞろいの四作が並びました。その中で受賞を勝ち取ったのが九能式尚さんの「彼女の終幕」です。原稿用紙換算にして一二九七枚、一般的な書籍三冊分ぐらいのボリュームなのにリーダビリティは抜群。作家エラリー・クイーンが生んだ探偵ドルリー・レーンに材を採り、同じように聴覚障害を持つ大学生が孤島の館の殺人を調査する物語には、書き手自身の経験と憧憬が色濃く映し出されているのを感じます。単行本刊行時にはかなりのブラッシュアップを図るとのこと、これからが本当に楽しみです。
ミステリ特集では、今野敏さんの隠蔽捜査シリーズ外伝、さらに杉井光さんの〈セカスキ〉スピンオフなど、読切八作を揃えました。殺人、誘拐、そして思い出探しまで、さまざまな謎解きをご堪能ください。
小説新潮編集長 西麻沙子
次号予告
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
小説新潮とは?

小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。
時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。
小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。
目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。
言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。