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チーム僕僕からのおしらせ――さあ、発売ですよ!


みなさま、お待たせです。僕僕先生シリーズの新たな歴史はここから始まる――まさに記念碑的傑作のシリーズ第四巻『さびしい女神―僕僕先生―』が、ついに発売日を迎えました!


今回は「日本ファンタジーノベル大賞」大賞受賞作『僕僕先生』以来、約4年ぶりの書下ろしです。スケールでかいです。時空、超えちゃいます。
この面白さ、編集者の言葉なんかじゃほんのちょっとしかお伝えすることはできませんが、それでもストーリーと主な登場人物を少し詳しめにご紹介しますね。


シリーズの三冊目『胡蝶の失くし物―僕僕先生―』をお持ちの方、ラストシーンを覚えていますか? そうです。苗人たちの内紛と、それを裏で利用して僕僕先生一行を襲おうとした暗殺組織・胡蝶房&謎の道士からギリギリ逃れ、一行は広州の港から海路をとったのでありました。
彼らがたどり着いたのは南海に面した小さな沿海州、武安州の港。そこからさらに北へ山を越えて数百里いくと、苗人たちの小国が点在する地域があります。今回の物語は、ここがスタート地点です。


苗人の国に一行が向かったのには、理由があります。『胡蝶の失くし物―僕僕先生―』で旅の仲間に加わった、人語を解する不思議な蚕「蚕嬢(さんじょう)」の正体は、なんと、「峰西苗」という国の王女さまだったのです。どうりでツンツンしたしゃべりっぷりなワケですね。


蚕嬢蚕嬢


彼女の本当の名前は碧水晶(へきすいしょう)。彼女はある目的のために、12年間を巫女として神に仕える身分でした。ところがこのお嬢さま、大人しくお勤めを果たすようなタマじゃない。彼女の補佐役に任じられた少年・茶風森(ちゃふうしん)を誘惑した挙げ句、お役目を放り出して脱走します。まったく、仕方のない娘です。


碧水晶と茶風森


ところが悪いことはできないですね。脱走した彼女の姿は、蚕に変わってしまうのです。同じく役目を果たせなかった茶風森もフクロウに。なぜ、こんなことになったのでしょう。彼女が巫女として仕えた神様の怒り? ともかく彼女は故郷に帰る。なぜならば、故郷はいま、とてつもない旱魃に襲われて大変なことになっているようなのです。


蚕嬢と一緒に峰西苗に到着した僕僕一行。旱魃は想像以上のひどさです。力になりましょうよと提案する王弁に対して、僕僕先生はなぜか冷たい。なんでだろう、王弁くんは納得がいきません。
ところがある事件をきっかけに、王弁くんは日照りが続く原因を知ります。原因は、苗人たちの土地にそびえる六合峰に封じられた女神、魃(ばつ)だったのです。


魃魃


この魃、確かに醜い姿ですが、王弁にはどうしても悪しき存在だとは思えない。というか、なんとか力になってあげたい。なぜならば、彼女はとても孤独だから。彼女の願いは、人間たちとともに暮らすこと。その一生懸命な営みを眺めていたい。もし叶うならば、仲間になりたい。
でも、それは難しいのです。彼女はこの世界を滅ぼしてしまいかねない強大な乾きの力を、生まれながらに備えてしまっている。ここで王弁くんは無謀にも、魃が安心して暮らせる場所を見つけてあげようと約束します。どうしてもほっとけなかったんですね、彼女を……。


しかしながら、最近の王弁はひと味違う。吉良の力を借りながら、自分の力で解決策を探りに動くんです。そのカギは、どうやら神仙たちの歴史にあるらしいと知った王弁は、司馬承禎のアドバイスもあって太古から生き続けてきた神々を訪ねる旅に出ます。
ひさびさに神馬の本領を発揮した吉良と、天の境を超えて訪ねた相手は燭陰でした。いまは天空の彼方のある星で、過去を隠すように暮らしています。


燭陰燭陰


燭陰は、魃を助けてあげる方法を教えて欲しいと頼む王弁くんを、はじめ頑なに拒絶します。なぜなら、魃の禍々しい力の秘密を明かすには、かつて神々と仙人と人が二大陣営に分かれて争った凄絶な時代を語らなければならないからです。その記憶、いま辿るにはあまりにも残酷……。しかし王弁くんの熱意は、やがて燭陰の冷たく凍った心をとかすのです。
燭陰はさらに天を超え、王弁くんたちをかつての戦友・耕父のもとに導きます。


燭陰と耕父


耕父は、自らの記憶の中を王弁くんに覗かせてやることで、神々の真実の歴史を教えます。この記憶の中の戦場は、読者のみなさんもきっと驚くに違いない大スペクタクルなのです。一方の陣営は、秩序と規律を旗印に掲げた黄帝の軍。そしてもう一方は、自由と混沌がこの天地のあるべき姿とする炎帝の軍。燭陰と耕父は、この炎帝の軍でともに戦った友なのですね。


さあ、魃の生誕の秘密が明かされます。そして、僕僕先生の過去の秘密を知るためのかすかな手掛かりも、実はここにあるのです。でも……それはやっぱりお読みいただいた方がいいですね。意地悪をするわけではありませんが、仁木さんの描きあげた壮大な物語の力を前にして、編集部が語るべき言葉などありません。


ひとつだけ申し上げておきたいのは、この作品をお読みになったアナタは、かなりの確率で泣いちゃいます。泣いて、人間ってなんてちっぽけなんだと実感しますが、でも読み終わると、なんだか力が湧いてくるのが不思議です。


さあ、能書きはこれくらいにいたしましょう。
まさにケタ違いの面白さ、『さびしい女神―僕僕先生―』の幕が上がります!

2010年4月22日