女による女のためのR-18文学賞

新潮社

第19回 受賞作品

王冠ロゴ 大賞受賞

秋ひのこ

「何言ってんだ、今ごろ」

秋ひのこ

――第19回R-18文学賞大賞受賞おめでとうございます。受賞を知った瞬間はいかがでしたか。

 ありがとうございます。私はカナダ在住で、時差があるので結果はメールでのご連絡をお願いしていました。そのため、朝に飛び起きて正座してメールを確認しました。最終選考に残った作品は全て読ませていただいて、自分の受賞はないだろうと思っていたので、大賞と聞いて本当に驚きです。

――小説の執筆は長く続けられてきたのですか。

 子供のころから本は大好きでしたが、作文も感想文も大の苦手でした。小心者で自信がないタイプなので(小説家になろう)などと思ったこともなかったです。
 新卒で映像制作の会社に就職したのですが、そこでドキュメンタリーの台本を書く仕事が降ってきまして、大量にこなしているうちに書くことに慣れていったように思います。現在、カナダでも時々日本語で情報系のライティングの仕事をしています。
 小説を書きはじめたのは2016年の秋ぐらいからなので、約5年ほどです。人から薦められて、今はもう閉鎖してしまったのですが「時空モノガタリ」という小説投稿サイトへの投稿を始めました。毎回お題に沿った2000字以内の掌編小説が審査されるコンテスト形式のサイトで、時々賞を頂くことがありました。

――R-18文学賞にはなぜ応募したのですか。

 一番大きな理由としては、分量が比較的少なく挑戦しやすそうだったからです。2016年、2017年と幸い一次通過させていただいて、二次通過が自分の目標になりました。ところが、2018年は一次すら通過できず……ですので今回の受賞は本当にびっくりしました。選考委員の辻村深月さんは元々大好きな作家ですし、応募し始めたことがきっかけで、窪美澄さんや彩瀬まるさんなど、これまであまり読んでこなかった女性作家の作品もたくさん読むようになりました。

――今後の目標はありますか。

 受賞作について、選考委員の三浦しをんさんに、作中に登場する人々の物語を読みたいと言っていただけたので、連作にできたらいいなと思っています。私が書き続ける理由の一つは、海外に住みながら日本語を忘れたくない、日本語にしがみついていたい、ということにあります。そうして書いたものが、また海を越えて母国に住む方々に読んでいただけるよう、これから頑張ります。