第5回R-18文学賞 優秀賞
「なくこころとさびしさを」清瀬マオ

 
――いつごろから小説を書き始めたんですか?
 物語を書いたり考えたりするのは、幼稚園のころから好きだったんです。だけど初めて文学賞に応募したのは、高校3年生のときですね。受験勉強のときにストレス解消みたいな感じで書いてて(笑)。今まで文藝賞に1回と、文學界新人賞に2回、計3回応募したことがあります。

――では、これが4度目の応募だったんですね。
 そうですね。R-18文学賞の存在を知ったのは去年だったんです。豊島ミホさんの本を読んだのがきっかけでした。『青空チェリー』はモロに泣かせるという感じではないけど、切なさが胸に残りますよね。豊島さんはとても好きな作家さんです。

――そうでしたか。他にはどんな作家さんがお好きなんですか?
 中学・高校時代は小野不由美さんの『十二国記』シリーズとか、あと安部公房の『砂の女』が印象に残っていますね。それから、山本文緒さんがすごく好きなんです。最初に『きっと君は泣く』を読んだときは、かなりの衝撃でした。こんなラストでいいんだ……ってビックリしたのを覚えています。最近だと、東野圭吾さんの『白夜行』とか。あれ? なんか私手当たり次第ですね(笑)。切ないお話が好きなんです。

――今までご自身では、どんなお話を書かれてきたんでしょうか?
 全部恋愛モノですね。自分が失恋とかするたびにワーって書いたり(笑)。友だちが読むと、誰をモデルにしているかすぐバレちゃうほど、実体験に触発されて書くことが多かったんです。

――今回の『なくこころとさびしさを』は、いわゆるフツーの恋愛じゃないお話ですが……
 カッコいい人とのセックスももちろんエロティックだと思うんですが、私自身は純粋な切なさとか恋愛よりも、読んだ後「イタイよね」って思うくらいの切なさが好きで。山本文緒さんの小説もそうだと思っているんですけど。だから今回も、ピュアな切なさじゃなくて、イタイ切なさを書きたいって思っていました。

――でも、痴漢のオヤジに萌える女子高生ってちょっと変わった設定ですけど、どうやって思いつかれたんでしょう?
 うーん、なんていうか、私にとって痴漢って特別な存在だったんですね(笑)。私は中高一貫の女子校に通っていたんですが、その間は電車通学で。6年間ずーっと制服着て通っていたのに、痴漢というものに1回もあったことがなかったんです。友だちはみんなあっているのに……(笑)。不謹慎な感情かもしれないですけど、どこかで、痴漢にあうことが女としてのステイタスだっていう意識があったのかな。

――なるほど(笑)。でも、ある意味主人公にとってこの痴漢の存在は、家庭や学校やフツーの恋なんかの日常生活に、穴を開ける存在だったのかなあと感じました。
 そうですね。それも攻撃的な穴じゃなくて、外界への通気口みたいな存在だったのかもしれないですね。日常の苦しさがすーっと抜けていくような。普通に彼氏と手をつないで歩いたりするだけじゃ、満たされない何かを書きたかったのかもしれません。

――この作品は、どのくらいの期間で書かれたんですか?
 これは、夏休みの一週間くらいで書きました。

――今は看護学校の学生さんなんですよね?
 はい。でも、小さい頃から看護師になりたいと思ってきたわけじゃないんです。高校2年生のとき進路を考えたときにすごく悩んで……。書くことに興味はあったけど、文学部のある大学に行ったからって作家になれるわけでもないし、どうしようって。最終的には、看護は人を助けられて、一生続けられるお仕事だなあと思ってこの道を選びました。

――小説のほうはいかがですか? 今回R-18文学賞を受賞されて、これからもずっと書いていこうというお気持ちはありますか?
 書いていきたいですね。しばらくは、同年代の女の子の話で、やっぱり恋愛を書いてみたいなと思っています。

――看護師さんと作家さん、異色の二足のわらじで活躍なさる日が来たら素敵ですね。これからも頑張ってください!