第12回受賞作品
受賞の言葉
大賞受賞

受賞の言葉
このたびは、私の作品を大賞にお選びいただきまして、本当にありがとうございます。
大賞のご連絡をいただく少し前から、自分に何か素敵なことが起こる予感のようなものがありました。ですからご一報をいただいた時、喜びとともに、人生には不思議なことがあるのだなあ、という感慨に身を委ねました。
「マンガ肉と僕」は、閃きから生まれました。30代半ばに出会ったパートナーと、もし学生時代に出会っていたら……という話をしたときのことです。彼は「でも、学生時代のあなたと僕は、お互いを宇宙人みたいに感じたかもしれないなあ」と呟きました。その瞬間、私の頭に本作のイメージとタイトルが浮かび、瞬発力を失わないまま、ラストまで一気に書いたのです。
オシャレでも甘くもない、きれいごとではない人間関係を描きたいと思いました。その関係の意味や、損得などを考えず、いつの間にか誰かと深く関わっている。そういうのが、正解だと思いました。
瞬発力で書いた作品ではありますが、言葉と視点にこだわって、推敲を重ねました。なぜこうするのか、なぜ、こうでなければいけないのか、と。ささやかですが、そこには確かに、戦いがありました。そうして完成した作品がこのような評価をいただけたことは、これからの私を後押ししてくれる、何よりも大きな力となります。
もう一度、選考に携わっていただいたみなさまに心からの感謝をお伝えし、受賞のことばとさせていただきます。本当に、ありがとうございました。