第15回R−18文学賞 受賞作品

友近賞
「県民には買うものがある」笹井都和古

 

笹井都和古(ささい・とわこ)
1994年滋賀生まれ、滋賀育ち。京都精華大学人文学部在学中。ドラえもんとハムスターがすき。
受賞者インタビュー

受賞の言葉
 昨年のはじめに体調を崩してからほとんど人と会わず、大学も休学し、家に引きこもる日々を過ごしていました。その間しょっちゅう「このまま死ぬのかなあ」なんて考えましたが、そう簡単に人は死にません。死にはしないけど、この社会にいる実感はどんどん薄まる。そういう怖さを持ちながら、私はまだここにいるんやぞ、と足掻くように文章を書きました。「県民には買うものがある」は地元・滋賀でくさくさ22年も生きてきてしまったことでどうか得することがありますように、と情けない祈りをこめて書き上げたものです。結果こうして賞をいただき、めちゃくちゃいい思いができたので、サンキュー滋賀、これで全部チャラな。くらいの気持ちで今はいます。
 作品を応募して結果を待つまでの間、滋賀で闇雲に生きる私にとっての光はもっぱらこの賞の通過発表、そして同時期にやっていたアニメ「おそ松さん」でした。先日いよいよ最終回を迎えた「おそ松さん」は、社会から置いてけぼりを食らっていた私さえも大きな作品世界のなかに呑み込み、その渦中に特等席まで用意し、最後までこちらを殴る、あるいは抱きしめるような力強さで夢中にさせてくれました。受賞の連絡をいただいたのは最終回を見た翌日のことです。六つ子の後を追って私もひとまずゴールテープを切れたんだ、とほっとするのと同時に、今度は自分が書くもので世界のどこかでくさくさしてる人の手をひっぱって、どうか夢中の渦に引きずりこんでみたい。そう思いました。
 改めて、つたない文章を読んでくださった先生方、ネットの向こうの読者の方、作品を最終候補まで導いてくださった新潮社の皆さま、そして賞にまで選んでくださった友近さん、皆さまに感謝したいと思います。本当にありがとうございました!
 これからもあらゆる試行錯誤をくるしみ楽しみながら、丁寧に作品を書いていきたいです。今後ともどうかよろしくお願いします。