女による女のためのR-18文学賞

新潮社

第1回受賞作品
受賞の言葉

王冠ロゴ 読者賞受賞

豊島ミホ

「青空チェリー」

豊島ミホ(としま・みほ)

1982(昭和57)年、秋田県生れ。早稲田大学第二文学部卒。在学中の2002(平成14)年、「青空チェリー」で第一回「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞してデビュー。他の著書に『日傘のお兄さん』(新潮社)、『ブルースノウ・ワルツ』(講談社)、『檸檬のころ』(幻冬舎)がある。

受賞の言葉

 正直な話、小説を読むのが苦手でした。小説って重くてしんどかったり、触れば壊れそうなほど繊細だったり、何というか、おかしをボリボリかじりながら読んではいけない雰囲気があります。小説が好きな方たちはそんな雰囲気が好きで読んでいらっしゃるのでしょうが、マンガが大好きな私はその雰囲気で小説を敬遠しがちでした。
 だから、小説を書いてみようとなったとき、おかしを食べながら読んでもいいような小説を書きたいと思ったのです。たいして特別なことを言っていなくとも、さらっと読めて後味の良い小説。のどごしすっきり後味さわやか。「R-18」文学賞に出すものだから、ちょっと甘美なおまけつき。
 ……という感じを目指したのですが、いかんせん普段読書をしない人間のため、文章に対する味覚が洗練されていなかったようで、相当チープな味わいになってしまいました。甘みも、自分では気づかなかったものの、結構くせのある甘みだったようですね。それでも支持してくださった方がいたので、このように読者賞を頂くことができました。たいへん嬉しく思っています。「R-18」文学賞をネット上で、という楽しい企画をして下さった新潮社の方々、つたない文を丁寧に読んで評価して下さった選考委員の先生方に感謝します。そして、ネットを通じて小説を読んでくださったみなさん、ありがとうございました。一票投じてくれた方には念を入れてありがとうを言いたいです。いつかは親しみやすくてもチープではない小説を書けるように、これから精進していきたいと思います。