新潮社

 主人公は、警察庁キャリアの(りゅう)(ざき)(しん)()。それまで現場で捜査に当たる警察官を主人公に据えてきたエンターテインメント小説界に颯爽と登場した第一作『隠蔽捜査』は、刊行時、大きな話題を呼びました。

 竜崎は、「原理原則」に従って生きる警察官僚です。建前や保身は念頭になく、世辞や打算、ごまかしを一切行わず、「捜査に必要な権限を行使するために出世はしたほうがよい」「理不尽な上司の命令には断じて盲従すべきでない」という発言をしてきました。「変人」と評される一方、「信念のキャリア」としてさまざまな難事件を解決に導き、部下からの厚い信頼を得ています。

 竜崎は家族の起こした不祥事のために、警察庁長官官房というエリートコースから外され、警視庁第二方面本部に属する大森署署長への異動を命じられました。警察官僚であればまずこの時点で組織を去るという降格人事でしたが、そこでいかんなく実力を発揮、警察内で高く評価され、やがて本流に返り咲くことに──。

 竜崎伸也の解決してきた事件の数々、そして彼の組織人としての成長をあなたの眼で目撃してください。

『隠蔽捜査』試し読み

シリーズ紹介

一夜―隠蔽捜査10―

今野敏/著

神奈川県警刑事部長・竜崎伸也のもとに、著名な小説家・北上輝記が小田原で誘拐されたという報が舞い込む。犯人も目的も安否もわからない中、竜崎はミステリ作家・梅林の助言も得ながら捜査に挑むことに。劇場型犯罪の裏に隠された、悲劇の夜の真相とは――。累計330万部突破の大人気シリーズ、記念すべき第10弾!

1,925円(税込)

米軍から特別捜査官を迎えた件で、警察庁に呼び出された竜崎伸也。審議官からの追及に、竜崎が取った行動とは――(表題作)。竜崎の周囲で日々まき起こる、本編では描かれなかった9つの物語。家族や大森署、神奈川県警の面々など名脇役も活躍する、大人気シリーズ待望のスピンオフ。本書のための特別書き下しも収録!

1,760円(税込)

探花―隠蔽捜査9―

今野敏/著

神奈川県警刑事部長となった竜崎のもとに現れた、同期入庁試験トップの八島という男。福岡県警から赴任してきた彼には、黒い噂がつきまとっていた。さらに横須賀で殺人事件が発生、米海軍の犯罪捜査局から特別捜査官が派遣されることに――。次々と降りかかる外圧に、竜崎は警察官僚(キャリア)としての信念を貫けるのか。新展開の最新刊。

1,815円(税込)

清明―隠蔽捜査8―

今野敏/著

大森署署長として功績を挙げた竜崎伸也は、神奈川県警に刑事部長として招かれた。着任後まもなく、東京都との境で他殺体が発見され、警視庁との合同捜査に。被害者が中国人で、公安が関心を寄せたため、事案は複雑な様相を呈してゆく。指揮を執りつつ、解決の鍵を求めて横浜中華街に赴く竜崎。彼は大規模県警本部で新たな重責を担うことができるのか――。隠蔽捜査シリーズ第二章、ここに開幕。

781円(税込)

棲月―隠蔽捜査7―

今野敏/著

鉄道のシステムがダウン。都市銀行も同様の状況に陥る。社会インフラを揺るがす事態に事件の影を感じた竜崎は、独断で署員を動かした。続いて、非行少年の暴行殺害事件が発生する。二件の解決のために指揮を執る中、同期の伊丹刑事部長から自身の異動の噂があると聞いた彼の心は揺れ動く。見え隠れする謎めいた“敵”。組織内部の軋轢。警視庁第二方面大森署署長、竜崎伸也、最後の事件。

825円(税込)

去就―隠蔽捜査6―

今野敏/著

大森署管内で女性が姿を消した。その後、交際相手とみられる男が殺害される。容疑者はストーカーで猟銃所持の可能性が高く、対象女性を連れて逃走しているという。指揮を執る署長・竜崎伸也は的確な指示を出し、謎を解明してゆく。だが、ノンキャリアの弓削(ゆげ)方面本部長が何かと横槍を入れてくる。やがて竜崎のある命令が警視庁内で問われる事態に。捜査と組織を描き切る、警察小説の最高峰。

781円(税込)

自覚―隠蔽捜査5.5―

今野敏/著

畠山警視は実技を伴うスカイマーシャルの訓練中、壁に直面する。彼女は共に難事件を乗り越えた竜崎に助言を求めた(「訓練」)。関本刑事課長は部下戸高の発砲をめぐり苦悩した。そこで竜崎の発した一言とは(表題作)。貝沼副署長、久米地域課長、伊丹刑事部長。彼らが危機の際に頼りにするのは、信念の警察官僚(キャリア)、大森署署長竜崎伸也だった――。七人の警察官の視点で描く最強スピン・オフ短篇集。

693円(税込)

宰領―隠蔽捜査5―

今野敏/著

衆議院議員が行方不明になっている。伊丹刑事部長にそう告げられた。牛丸真造は与党の実力者である。やがて、大森署管内で運転手の他殺体が発見され、牛丸を誘拐したと警察に入電が。発信地が神奈川県内という理由で、警視庁・神奈川県警の合同捜査が決定。指揮を命じられたのは一介の署長に過ぎぬ竜崎伸也だった。反目する二組織、難航する筋読み。解決の成否は竜崎に委ねられた!

781円(税込)

転迷―隠蔽捜査4―

今野敏/著

大森署署長・竜崎伸也の身辺は、にわかに慌しくなった。外務省職員の他殺体が近隣署管内で見つかり、担当区域では悪質なひき逃げ事件が発生したのだ。さらには海外で娘の恋人の安否が気遣われる航空事故が起き、覚醒剤捜査をめぐって、厚労省の麻薬取締官が怒鳴り込んでくる。次々と襲いかかる難題と試練――闘う警察官僚(キャリア)竜崎は持ち前の頭脳と決断力を武器に、敢然と立ち向かう。

825円(税込)

初陣―隠蔽捜査3.5―

今野敏/著

警視庁刑事部長を務めるキャリア、伊丹俊太郎。彼が壁にぶつかったとき頼りにするのは、幼なじみで同期の竜崎伸也だ。原理原則を貫く男が愛想なく告げる一言が、いつも伊丹を救ってくれる。ある日、誤認逮捕が起きたという報に接した伊丹は、困難な状況を打開するため、大森署署長の竜崎に意見を求める(「冤罪」)。『隠蔽捜査』シリーズをさらに深く味わえる、スピン・オフ短篇集。

737円(税込)

疑心―隠蔽捜査3―

今野敏/著

アメリカ大統領の訪日が決定。大森署署長・竜崎伸也警視長は、羽田空港を含む第二方面警備本部本部長に抜擢された。やがて日本人がテロを企図しているという情報が入り、その双肩にさらなる重責がのしかかる。米シークレットサービスとの摩擦。そして、臨時に補佐を務める美しい女性キャリア・畠山美奈子へ抱いてしまった狂おしい恋心。竜崎は、この難局をいかにして乗り切るのか?

781円(税込)

果断―隠蔽捜査2―

今野敏/著

長男の不祥事により所轄へ左遷された竜崎伸也警視長は、着任早々、立てこもり事件に直面する。容疑者は拳銃を所持。事態の打開策をめぐり、現場に派遣されたSITとSATが対立する。異例ながら、彼は自ら指揮を執った。そして、この事案は解決したはずだったが――。警視庁第二方面大森署署長・竜崎の新たな闘いが始まる。山本周五郎賞・日本推理作家協会賞に輝く、本格警察小説。

825円(税込)

隠蔽捜査

今野敏/著

竜崎伸也は、警察官僚である。現在は警察庁長官官房でマスコミ対策を担っている。その朴念仁ぶりに、周囲は〈変人〉という称号を与えた。だが彼はこう考えていた。エリートは、国家を守るため、身を捧げるべきだ。私はそれに従って生きているにすぎない、と。組織を揺るがす連続殺人事件に、竜崎は真正面から対決してゆく。警察小説の歴史を変えた、吉川英治文学新人賞受賞作。

825円(税込)

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著者プロフィール

今野敏

今野敏

コンノ・ビン

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の1978年に「怪物が街にやってくる」で問題小説新人賞を受賞。レコード会社勤務を経て、執筆に専念する。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、2008年、『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞と日本推理作家協会賞を、2017年、「隠蔽捜査」シリーズで吉川英治文庫賞を受賞。2023年、ミステリー文学の発展に著しく寄与したとして日本ミステリー文学大賞を受賞。さまざまなタイプのエンターテインメントを手がけているが、警察小説の書き手としての評価も高い。近著に『トランパー 横浜みなとみらい署暴対係』『脈動』『遠火 警視庁強行犯係・樋口顕』など。

今野敏「隠蔽捜査」シリーズ (外部リンク)

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