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警視庁43000名が恐れる男。黒滝警部補、登場

警視庁43000名が恐れる男。黒滝警部補、登場

 佐々木譲さんの「警官の血」二部作、今野敏さん「隠蔽捜査」シリーズ安東能明さん「撃てない警官」シリーズ......。精鋭揃いの新潮文庫に、また強力な警察小説が加わりました。『ドッグ・メーカー―警視庁人事一課監察係 黒滝誠治―』。
 著者の深町秋生さんは、「このミステリーがすごい!」大賞を受賞して、2005年作家デビュー。2011年スタートの「組織犯罪対策課八神瑛子」シリーズは40万部超のベストセラーとなっています。キャラクター造形とアクション・シーンに定評のある、いま最も注目されている、ミステリ作家です。
 今作の主人公は、事件関係者の首に縄をつけ情報収集を行わせるという強引な手法から、ドッグ・メーカーと呼ばれる男、黒滝誠治。刑事ではなく、「警察の中の警察」として警察官の犯罪に目を光らせる、監察です。希代の"寝業師"白幡警務部長、美しくも根性のすわったキャリア相馬美貴警視と共に、黒滝は警視庁内に巣食う凶悪な人物と対決します。600頁を超える大作ながら、一気読み必至。ダーク・ヒーロー・黒滝誠治が巻き起こす物語の激流に身を任せてください。


高校野球小説で涙、涙、涙の傑作

 毎年、晴れやかな表情で甲子園の開会式にのぞむ選手たち。大会歌に合わせて行進する彼らの姿を見て、なぜか涙ぐむという人も少なくありません。清新なユニフォーム、まっすぐに上げた視線、誇らしげな笑み。彼らにとって、甲子園という聖地は、まさに「悲願」そのものだったことでしょう。
 本書『夏の祈りは』の舞台、埼玉県立北園高等学校にとっても、甲子園は悲願でした。かつて埼玉県大会準優勝という最高成績を修めた北園野球部は、甲子園出場が達成できないまま、昭和最後の夏を迎えます。「今年こそ――。」主将香山にとって負けてはならない、いえ負けるはずのない試合でしたが......。試合終了後、ベンチで立ちつくす香山の耳に、ある声が聞こえてきます。敗者への全力のメッセージ。この場面、何度読んでも目が潤みます。
 それから十年後エース葛巻と豪腕宝迫を擁しても、さらに十年後、女子マネがサポートに活躍しても、甲子園は遠く、その十年後つまり2017年の夏を迎えるのは、期待されていないハズレ世代。果たして――。
 全5話が十年ごとのクロニクルになっている点も見逃せません。ひと夏の歴史が積み重なって、甲子園へとつながっていく。高校野球を描く第一人者、須賀しのぶさんの傑作です。

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2017年08月15日   お知らせ / 今月の1冊
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