1999年の秋に初刊行、手帳や日記として使用できる「白い文庫本」の先駆けとなった『マイブック』。本作、一年間の日付と曜日が入っているだけで中はほとんど真っ白。日々の記録、旅の思い出、ペットの写真、レシピ集、ふとした日常の気づき......。空白の使い方はあなたの自由。どんなものでもOKです。
一年かけてゆっくりと書き込み完成させれば、愛着も喜びもひとしおの特別な一冊になります。未完なら未完で、それもまたよし(「未完の大作」という言葉もありますし......)。毎年完成させ、著作がどんどん増えていくと、本棚での存在感も増してゆきます。来年からあなたも『マイブック』の「著者」になってみませんか?
25周年目を迎えた2025年版は、Z世代を中心とした「日記界隈」の熱い支持も追い風となり、21年ぶりの12万部突破を果たしました! 今年もまだ10月にもかかわらず、書店店頭で多くのお客様に手に取っていただき重版も決定。年末になると在庫は少なくなります! 気になっている方はぜひお早めにお買い求めください!
直木賞と山本周五郎賞をW受賞した本書が、ついに文庫化されました。発売直後から各書店の売れ行きが落ちることなく、早くも増刷決定です。多くの読者が文庫になることを待ち望んでいた証だと思います。
すでに歌舞伎としても舞台化されたこの小説は、このたび映画化も決定しました。キャストは、柄本佑さんと渡辺謙さん。監督・脚本は源孝志さんというこの上ない布陣で、劇場公開は2026年2月27日。作品を読んだ方は、否が応でも胸が高鳴るのではないでしょうか。
『木挽町のあだ討ち』がなぜここまでの広がりを見せているのでしょうか。
時代小説というと、「とっつきにくい」イメージがあるにもかかわらず、世代を超えて幅広い読者を虜にしている大きな理由は──。いくつも理由があると思いますが、大きな理由の一つは、時代小説なのに、巧妙な仕掛けと謎解きが用意されているからだと思います。要するに、時代小説とミステリーの融合。それによって、双方のジャンル枠を超越した作品になっているのです。
ネタバレにならないように、少しだけ物語を紹介しましょう。
ある雪の夜、木挽町の芝居小屋の裏手で、菊之助なる若衆が見事な仇討を果たします。白装束を血に染めて掲げたのは父の仇、作兵衛の首級。その二年後。ある武士が現れ、目撃者を訪ね歩きます。元幇間、立師、衣装部屋の女形......。皆、世の中では生きづらく居場所を失い、悪所に救われた者ばかり。「立派な仇討」と語られるあの夜の〈真実〉とは何だったのか。驚きの仕掛けが、最後に感動を呼ぶまぎれもない傑作です。
もちろん、仕掛けの面白さだけでなく、登場人物の言葉に感情移入して読めるのも魅力の一つです。みな生きるのが不器用で、自分の居場所を失った人たちが、「芝居」というフィクションに救われていきます。この作品が清々しい感動をもたらすのは、小説の言葉が、読む人たちの琴線に触れるからではないかと、思わずにはいられないのです。
チケットの半券、入場パス、記念スタンプ......ワクワクする体験の記念をスーツケースやスマホケースに貼って「カスタム」するのは、とても楽しいですよね。面白い小説と出会えた喜び、充実した読書体験の余韻も、旅の記念と同じように楽しくカスタムして残せたら......と考えました。
今年も9月から全国の書店さんで、新潮文庫nexフェアが開催中です。11周年を迎えた本年は「ステッカーをあつめて貼ろう!」が合い言葉の「カスタム!新潮文庫nexフェア」。対象の新潮文庫nexをお買い上げいただいた皆様に「ブックカバーになるショッパー」をプレゼント!(なくなり次第終了となります)
さらに、12タイトルに、オビの代わりに、はがして何度でも貼れる「カスタムステッカー」を付けました。読み終わったらステッカーを文庫からはがして、自分だけのカスタムが楽しめます。「ブックカバーになるショッパー」に貼って、旅のトランクケースのようなカスタムも楽しめます。
新潮文庫nexをたくさん読んで、ステッカーをあつめて、あなただけの読書の記念に、オリジナルなカスタムブックカバーを作って楽しんでください。
『死刑にいたる病』『鵜頭川村事件』『殺人依存症』といった、社会病理、犯罪心理を巧みに描き、手に汗握るサスペンスを数多く発表しつづける櫛木理宇氏。書き下ろしの最新刊文庫は、人口の流動性の低い田舎町で起きた昭和末期の誘拐事件から始まります。
美しく利発な少女・サチはある日男に誘拐され、そこから11年間監禁されてしまう。ようやく生還出来た彼女を待ち受けていたのは、旧弊な価値観のまま変化のない住人達による嫌がらせや、無理解だった。疲弊しきる彼女の元に「この骨がホンモノ」だと白骨死体が送りつけられる──。
この死体は誰のものなのか。犯人は。悪意の連鎖の根幹には何があるのか......。一度読み始めたら、結末を知るまでは本のページを閉じられない、衝撃の読書体験が待ち受ける。画家・諏訪敦氏の美しく印象的なカバー裝画にも注目です。
年末ともなると、各社アンケートによる海外ミステリーのベスト10発表が待ち遠しくなります。そんななか、台風の目となりそうなのが、英国作家マシュー・ブレイクのデビュー作『眠れるアンナ・О』です。
ある夜、25歳の雑誌編集長アンナは、雑誌社を共同で経営していた同僚2人が刺殺された現場近くで、ナイフを手にしたまま深い睡眠に陥った状態で発見されます。以来四年ものあいだ彼女は昏睡状態のままで、タブロイド紙に "眠り姫"と呼ばれていました。アンナの症状は、神経学者には「あきらめ症候群」として知られる珍しい精神疾患。彼女を目覚めさせる治療を引き受けることになったのが、心理学者で、睡眠が関わる犯罪の専門家ベンで、治療を通じてベンは徐々にアンナに同情的になっていくのでした。やがて過去に起きた同様の睡眠殺人事件との関連が判明し、当時の容疑者の子どもである患者Xの存在も明らかになるに及んで、事件は思いもかけない方向へと転がり落ちて――。
アガサ・クリスティーを愛してやまない著者が、睡眠時殺人という最新のテーマで挑んだ謎また謎の展開は素晴らしく、まさにミステリー界の新たな才能の誕生と言っていいでしょう。さらに、"ファクション"の手法はトルーマン・カポーティ『冷血』を思わせ、二転三転するストーリーの果てに待ち受けるのは、一気に覆される驚異のクライマックス! 全英の話題をさらった超弩級のデビュー作をぜひとも手に取って、騙しに騙される快感を味わってください。