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舞城王太郎「ビッチマグネット」(長篇290枚)

新潮 2009年9月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2009/08/07

発売日 2009/08/07
JANコード 4910049010990
定価 特別定価996円(税込)

◆ビッチマグネット(長篇290枚)/舞城王太郎
人間のゼロは骨なのだ。そこに肉と物語をまとっていく。それぞれの物語を抱えた父母姉弟が織り成す、リアルで新しいファミリー・ロマンス。

◆ザ・ダイバー(戯曲)/野田秀樹
精神の深海にダイブする女。それを追う精神科医。〈21世紀〉に切り刻まれた狂女の魂が、千年の時を遡り、源氏物語の悲劇を再生する。

◆みのる、一日(いちじつ)/小野正嗣

◆水彩 四畳半襖の下張/小林恭二

◆妖談 ―8―/車谷長吉

■連載小説
・慈雨の音(三)/宮本 輝
・還れぬ家(六)/佐伯一麦
・ネバーランド(十一)/藤野千夜
・幸福の森(二十一)/加賀乙彦

■新潮
・「ヘヴン」が介在することの悲しみ 川上未映子と森田童子/永井 均
・一階の住人/横浜聡子
・物を集める男/金氏徹平

◆第42回《新潮新人賞》応募規定

■話題作をめぐって
・お告げと報告、楽観と諦観――磯崎憲一郎論/古谷利裕
・王国の到来 村上春樹『1Q84』/安藤礼二
・現代人は救われ得るか――村上春樹『1Q84』(後篇)/福田和也
・バーミリオンの向こう側――高村薫『太陽を曳く馬』論/山城むつみ

■島尾敏雄 終戦後日記(二) 昭和二十一年一月一日―一月三十日

■生き延びるためのアメリカ文学(十九)/都甲幸治
 街のにおい――ダン・ファンテ『安酒の小瓶 ロサンゼルスを走るタクシードライバーの話』

■四方田犬彦の月に吠える(二十一)[文化月評]/四方田犬彦

■見えない音、聴こえない絵(六十七)/大竹伸朗

■本
・安藤礼二『霊獣 『死者の書』完結篇』/今福龍太
・辻原 登『許されざる者(上・下)』/黒岩比佐子
・佐藤友哉『デンデラ』/斎藤 環
・宮本 輝『骸骨ビルの庭(上・下)』/中村文則
・藤沢 周『キルリアン』/松浦寿輝

■連載評論・エッセイ
・屋根裏プラハ(二)/田中長徳
・随想(九)/蓮實重彦
・残夢整理(九)/多田富雄
・母性のディストピア――ポスト戦後の想像力(十一)/宇野常寛
・高畠素之の亡霊(二十)/佐藤 優
・明治の表象空間(三十七)/松浦寿輝

編集長から

文学の響き、時代の響き
◎新潮新人賞の部内選考で数多くの応募作を読む毎日だ(受賞作発表は11月号)。昨年の今頃も同じような日々だったが、この一年間も、出版を巡る環境の変化はとまらない。Googleブック検索に揺らぐ著作権。携帯端末が主導する電子書籍市場の更なる拡大。月刊総合誌他の相次ぐ休刊、等々。もちろん計二千作の応募作には巧拙あるけれど、激動の時代を生きる無名の書き手達の精神が〈響き〉として伝わってくる。彼ら彼女らと小誌は同時代に在ることを実感する。未知の才能が、その出現の予兆音を発してはいないか――編集者は祈るような思いで、原稿に耳を澄ませる◎舞城王太郎氏の長編「ビッチマグネット」(290枚)は、おそらくこの時代にしか書かれえなかったファミリー・ロマンス。野田秀樹氏の最新戯曲「ザ・ダイバー」は、能曲「海人」や「源氏物語」を基底に置きながら、きわめて刺激的かつ批評的な同時代劇となった。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞