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【初公開】庄野潤三「逸見(ヘミ)小学校」 文壇デビュー前に書かれた幻の戦争小説!

新潮 2011年8月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2011/07/07

発売日 2011/07/07
JANコード 4910049010815
定価 特別定価996円(税込)

タダイマトビラ/村田沙耶香
子供の頃から、私は、ずっとただ一つのトビラを探していた――。「家族」を狂おしく希求し、「家族」を破壊し尽くす衝撃の長篇小説。
[長篇280枚]

アトム/高橋源一郎

へ(灰)がふっ(降る)と おもいだす/村田喜代子

先カンブリア/諏訪哲史

■連載小説
・爛(七)/瀬戸内寂聴
・フィルムノワール/黒色影片(十九)/矢作俊彦
・還れぬ家(二十六)/佐伯一麦
・幸福の森(四十四)/加賀乙彦


■新潮
・浅草海苔と穴子鮨/高橋英夫
・火事場泥棒地震詐欺、その他/笙野頼子
・小金井「名画座」の記憶/深田晃司

◆第44回《新潮新人賞》応募規定

■ 初公開 ■文壇デビュー前に書かれた幻の長篇小説
逸見(ヘミ)小学校(180枚)/庄野潤三
昭和20年、横須賀の小学校に集った若き海軍
軍人たちのおかしみと哀しみに充ちた日々――。
庄野文学の人生観が滲み出た「戦争」小説。
解題/鷺 只雄

■哲学の起源[第二回]/柄谷行人

【新連載】世界同時文学を読む/都甲幸治
アメリカ文学の移動――「ニューヨーカー」が選ぶ40歳以下の作家20人

■夜露死苦現代詩2.0 ヒップホップの詩人たち/都築響一
 第三回・夢もなく生きるならせめて笑え――鬼

■批評時空間 第八回・風景について(その3)/佐々木 敦

■正岡子規(八)/ドナルド・キーン  角地幸男/訳

■アメリカスケッチ2.0 ウェブと文化の未来を考える/池田純一
 第十五回 パーソナルテクノロジーとシリコンアレー

■見えない音、聴こえない絵(八十八)/大竹伸朗

■本
・池内 紀『作家のへその緒』/石田 千
・本谷有希子『ぬるい毒』/江南亜美子
・堀江敏幸『なずな』/栗田有起
・河野多惠子『逆事』/日和聡子
・佐々木 敦『即興の解体/懐胎 演奏と演劇のアポリア』/松井 周


編集長から

新発見・庄野潤三
「逸見小学校」
◎故・庄野潤三氏の未発表作品「逸見小学校」を掲載する。脱稿は文壇デビュー作「愛撫」に先立つ昭和24年1月。自身の軍隊経験を濃厚に反映させた180枚の中篇作品だ。これは特大級の発見と言っていいだろう◎昭和20年3月、年若い海軍少尉・千野が軍港・横須賀の駅に降り立つところから物語は始まる。戦局は敗色濃厚であり、既に東京も大空襲で壊滅的被害を受けていた。〈死〉は目前に迫っている。だが千野少尉やその仲間達が駐屯した元小学校での日々は不思議なのどかさに充ち、女性とのロマンスの萌芽さえあった。この全的破壊と隣り合わせの〈日常〉は、どこか311以降の私たちの生を思わせないだろうか……。執筆から60余年の時を経て、2011年に本作が姿を現したことの意味は大きいはずだ◎村田沙耶香氏の長篇小説「タダイマトビラ」(280枚)は、〈家族とは何か〉という根源的な問いへの氏にしかなしえなかった渾身の応答だ。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞