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2012:想像力×世界!

新潮 2012年2月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2012/01/07

発売日 2012/01/07
JANコード 4910049010228
定価 特別定価996円(税込)

2012:想像力×世界!

二度めの夏に至る[長篇240枚]/古川日出男
僕はここ京都で聖家族を作る――大震災後のひびがはいった世界で、謎めいた「教団」の闇の中で、ポスト3・11の想像力が爆発する!

同行死者/高村 薫

死小説/荒木経惟
光と影だけで書かれた「小説」。

今まで通り/佐藤友哉

神風/黒川 創

震災後に芸術を定義し直す(第二部)[対談]/椹木野衣+宇川直宏
大災害と芸術を繋ぐミッシングリンクとは? 忘却を退け、創造の真の可能性を検討する。

マヤの黄昏/フアン・ビジョーロ  寺尾隆吉/訳

吉田健一[第二回・130枚]/長谷川郁夫
英国留学から半年で戻ってきた健一の文士修業が始まった――「乞食王子」の青年期編。

“フクシマ”、あるいは被災した時間(五)――換喩化のドライブ・2/斎藤 環

夜露死苦現代詩2.0 ヒップホップの詩人たち/都築響一
 第八回・TOKONA-X

批評時空間/佐々木 敦
 第十三回・観察(者)について(その1)

アメリカスケッチ2.0 ウェブと文化の未来を考える/池田純一
 第二十回・リパブリックのアメリカとスケーラブルな世界

世界同時文学を読む(七)/都甲幸治
 親父のタイプライター――ダン・ファンテ『カモ』

見えない音、聴こえない絵(九十三) カラッ風絵画/大竹伸朗

■本
・山田詠美『ジェントルマン』/安藤礼二
・森内俊雄『梨の花咲く町で』/池内 紀
・村田沙耶香『ハコブネ』/江南亜美子
・東 浩紀『一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル』/福嶋亮大
・よしもとばなな『スウィート・ヒアアフター』/藤代 泉
・福永 信『一一一一一』/古谷利裕
・湯浅 学『音楽が降りてくる』/細川周平
・小澤征爾・村上春樹『小澤征爾さんと、音楽について話をする』/堀江敏幸

■新潮
・韓国みやげ/西村賢太
・ジェイムズ・ヒルマン追悼/河合俊雄
・コンタクトシートは手稿に似てる/大竹昭子
・夜が明けないまま、朝/藤田貴大

■連載小説
・満月の道(二)/宮本 輝
・フィルムノワール/黒色影片(二十五)/矢作俊彦
・還れぬ家(三十一)/佐伯一麦

◆第44回《新潮新人賞》応募規定

編集長から

想像力は鍛えられている
 古川日出男氏は東北六県を舞台にした超大作『聖家族』の完成後、確信を持って〈京都〉を想像力の新たな発露の場に定めた。「冬」「疾風怒濤」(いずれも小誌掲載)と、京都を舞台にした中篇作品を発表し、第三作の準備に取り組んでいた。「私はこの二〇一一年にこれに賭けると腹を括っていた。満足のゆく達成ができなければ、小説家など廃業だと」(古川氏のある小説より)。その古川氏を東日本大震災が襲ったのだ。福島第一原子力発電所から数十キロの農家に生まれ、〈東北〉を全身全霊で描いた氏の想像力を――。本号掲載「二度めの夏に至る」(240枚)は、大震災により中断を余儀なくされた京都シリーズ完結作であり(物語は3・11後から始まる)、〈日本〉をまるごと小説化しようと欲望する作家の新たな到達点であり、そして、想像力が大震災によっていかに鍛えられたかを示す証拠である。古川氏に限るまい。今、日本の想像力は鍛えられている。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞