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柴崎友香「わたしがいなかった街で」(350枚一挙掲載)

新潮 2012年4月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2012/03/07

発売日 2012/03/07
JANコード 4910049010426
定価 特別定価996円(税込)

わたしがいなかった街で/柴崎友香
遠い街で戦火に消えゆく命を思いながら、「わたし」は今ここにある生を、歩み続ける。著者最大のテーマに迫る飛躍作。
[350枚一挙掲載]

金の櫛/鹿島田真希

死小説[第二章]/荒木経惟

夢の葬送/佐藤友哉

■新潮
・キーンさんの散文――「ドナルド・キーン著作集」とは何か/角地幸男
・やちむんの魂/中江裕司
・Life goes on/高橋恭司
・「iBooks Author」と「著者」の変質/仲俣暁生

【100年保存大特集】
震災はあなたの〈何〉を変えましたか?
震災後、あなたは〈何〉を読みましたか?

よしもとばなな…震災が私の何を変えたか&震災後なにを読んだか
阿部和重…ご質問への回答
加賀乙彦…大震災と祈り
水村美苗…回答
古井由吉…永劫回帰
町田 康…ワイルドサイドを歩け
石田 千…おさがり
岡田利規…僕はかなり変わったと思う
田中慎弥…逃げ足
黒井千次…半日常の時間
津島佑子…この「傷」から見つかるものは
長野まゆみ…砂と泥と火山灰でできた土地の上で
村田喜代子…放射線に射貫かれて もう一つの三・一一
古川日出男…剥いで、骨が残った
松浦理英子…変わっていないと思う
中村文則…昔から
角田光代…一つの世界
佐伯一麦…回答
島田雅彦…災厄中の希望
平野啓一郎…「生/死」と「有/無」
松浦寿輝…「電子冷凍機」の悪夢
いしいしんじ…真夜中のことば
池澤夏樹…思ってもみなかった大きな変化
桐野夏生…何も信じられない
宮沢章夫…どこにも行けない
朝吹真理子…イメージへの距離
黒川 創…これまでと、これからの長い時間
矢作俊彦…あれ以来

“フクシマ”、あるいは被災した時間(七)――核と原子力 両価性の起源/斎藤 環

夜露死苦現代詩2.0 ヒップホップの詩人たち/都築響一
 第十回・本当に痛い場所を言わないくせにわかって貰えないって、一人で泣く――チプルソ

批評時空間/佐々木 敦
 第十五回・時間と空間について

アメリカスケッチ2.0 ウェブと文化の未来を考える/池田純一
 第二十二回・ハッカー王国の誕生

世界同時文学を読む(九)/都甲幸治
 水の記憶――ジュリアン・バーンズ『終わりの感覚』

見えない音、聴こえない絵(九十五)/大竹伸朗

■本
・田中長徳『屋根裏プラハ』/池内 紀
・マリオ・バルガス=リョサ『悪い娘の悪戯』/小山田浩子
・金井美恵子『ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ』/千葉雅也
・山根貞男『日本映画時評集成 2000-2010』/古谷利裕
・角田光代『かなたの子』/間宮 緑

■連載小説
・満月の道(四)/宮本 輝
・フィルムノワール/黒色影片(二十七)/矢作俊彦
・還れぬ家(三十三)/佐伯一麦

◆第44回《新潮新人賞》応募規定

編集長から

震災は小説家の
何を変えたか?
震災はあなたの〈何〉を変えましたか? 震災後、あなたは〈何〉を読みましたか? 東日本大震災から一年を迎える本号では、特集として、この問いを多くの小説家に投げかけた。余りにも愚直な問いかけだったろうか? だが、小誌は知りたかったのだ。想像力とペンだけで表現する小説家が、想像力の基盤である現実を激しく揺さぶった大震災を内的にどう受け取ったかを。そして、寄せられた応答は、切実で多様で深かった! このかけがえのない言葉を同時代の読者と共有し、未来の読者に伝えたい◎柴崎友香氏の長篇「わたしがいなかった街で」(三五〇枚)の女性主人公は二〇一〇年の東京で日常を営みながら、説明のつかない衝動で戦争記録映像を眺め続ける。海野十三「敗戦日記」をiPhoneで読みながら、大空襲の痕跡をかすかに残した東京や大阪を歩き続ける。震災に揺さぶられ、同時に鍛えられた想像力が、確かにここにある。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞