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川上弘美「mundus」

新潮 2012年9月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2012/08/07

発売日 2012/08/07
JANコード 4910049010921
定価 特別定価996円(税込)

mundus/川上弘美
さまざまな人生の瞬間に、それはきらきらと光った――生と死と性が未知の響きを放つ、新しい小説のmundus=世界へ。

天使/よしもとばなな

黄色は空の分け前/堀江敏幸

いつも彼らはどこかに/小川洋子
 第四回・目隠しされた小鷺

父/橋本 治

IT業界 心の闇/木下古栗

ディスカス忌/小山田浩子

ロイ・スパイヴィ/ミランダ・ジュライ  岸本佐知子/訳

■連載小説
・還れぬ家(三十六)[連載完結]/佐伯一麦
・フィルムノワール/黒色影片(三十一)[連載完結]/矢作俊彦
・ニッチを探して(三)/島田雅彦
・記憶について ちょうちんそで(三)/江國香織
・双頭の船(六)/池澤夏樹
・人外(にんがい) [遊女考(十)]/村田喜代子

第45回《新潮新人賞》応募規定

◆◆ 新発見 ◆◆
小川国夫 未発表小説集
おろかな回想  霜と虹
俺たちが十九の時  少年(四つの掌篇)
サン・ユニア公国  叔母、甥
文学が誕生した瞬間の眩い輝き! 故郷・藤枝で、欧州放浪で、育まれた最初期作品六篇。

【解説】作家修錬時代の小川国夫/勝呂 奏

■ 対談 ■
〈わたし〉がいない過去と未来へ/柴崎友香+岡田利規

■ 緊急寄稿 ■
海の向こうで「現代日本文学」が亡びる/加藤典洋
 あるいは、通じないことの力

夜露死苦現代詩2.0 ヒップホップの詩人たち/都築響一
 最終回・こんなんでいいならくれてやるよ――レイト

地上に星座をつくる/石川直樹
 第五回・最奥の国境

世界同時文学を読む/都甲幸治
 第十四回・顔のない人々――タオ・リン『リチャード・イエーツ』

アメリカスケッチ2.0 ウェブと文化の未来を考える/池田純一
 第二十七回・20年後のマルチメディア

見えない音、聴こえない絵/大竹伸朗
 第一〇〇回・コンチキチンの森

■新潮
・二十年目の宿題/中上 紀
・プラハの翻訳者会議/阿部賢一
・タイムレスなドレスと言葉/江南亜美子

■本
・ポール・オースター『ブルックリン・フォリーズ』/稲葉真弓
・堀江敏幸『燃焼のための習作』/マイケル・エメリック
・辻原 登『父、断章』/田中和生
・本谷有希子『嵐のピクニック』/山崎まどか

編集長から

新発見
小川国夫・未発表小説集
◎故・小川国夫氏(1927~2008)の未発表小説群が発見された。25歳からの約三年間に及ぶフランス留学・欧州放浪の前に書かれた最初期作品より、代表作『アポロンの島』が島尾敏雄に劇的に「発見」される直前の30代後半のものまで、六篇の作品群(計200枚)を一挙に掲載する◎この修練時代を小川氏は後に「船底」「煉獄」と語った。にもかかわらず、執筆から半世紀後に解放され、ついに私たちの目に触れることになった作品たちは、小説が誕生する瞬間の輝きに充ちている。作家性が確立される前の未成熟であるがゆえの魅力? だが最晩年の小川氏は「死に向かって作家は成長する」と語っていたのではなかったか(長谷川郁夫氏の追悼文による)。ならば、今回の新発見小説に宿ったものは、形を変えながら、作家の死の寸前まで「成長」し続けていたはず。本号への寄稿者たちも、最新作を生み出すことで、まさに今、「成長」しているのだ。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞