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鹿島田真希「ハルモニア」(芥川賞受賞第一作)

新潮 2012年10月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2012/09/07

発売日 2012/09/07
JANコード 4910049011027
定価 特別定価996円(税込)

[芥川賞受賞第一作・120枚]
ハルモニア/鹿島田真希
ナジャ、きみが音楽の魂ならば、ぼくは音楽の肉体だ。神様に選ばれた、スラブ系の血をひく少女と青年の魂に、調和(ハルモニア)は訪れるのか?

[長篇戯曲]
エッグ/野田秀樹
戦争とスポーツだけが、男が男である最後の砦! 東京五輪前夜、幻のスポーツ「エッグ」を通し、日本人は国家の躍進に熱狂する。

明日の空/古井由吉

長い緑の茎のような少年/伊井直行

いつも彼らはどこかに/小川洋子
 第五回・愛犬ベネディクト

ニイタカヤマノボレ/絲山秋子

母の罪/ジャミール・アフマード  池辺晴彦/訳

死小説[第五章]/荒木経惟

鴎よ、語れ。(110枚)/藤谷 治
二〇一一年、私の手は何に触れ、何を見て聞いたのか。困難な時代の文学を問う渾身作。

第44回《新潮新人賞》予選通過作品発表

第45回《新潮新人賞》応募規定

■■ 対談 ■■
それぞれの孤独に寄り添って/松浦理英子+村田沙耶香

言葉の映像、映像の言葉/綿矢りさ+西川美和

■ 緊急寄稿 ■
仕分けされる国際交流と日本文学/小林敏明
 JLPP廃止について

いま日本語で書かれ得る、最も小説らしい小説/沼野充義
 ――加賀乙彦『雲の都』を読む

地上に星座をつくる/石川直樹
 第六回・ガンジスの河口にて

世界同時文学を読む 第十五回・取り返しのつかないこと/都甲幸治
 ――コルム・トビーン『空っぽの家族』

アメリカスケッチ2.0 ウェブと文化の未来を考える/池田純一
 第二十八回・自然史のアーカイブ

見えない音、聴こえない絵/大竹伸朗
 第一〇一回・島の海辺の蜘蛛の巣の気配

■新潮
・眼を溶かせ!/東海晃久
・おっちゃんのキッチン/藤原辰史
・ジョージ・ディームのフェルメール讃/落石八月月

■本
・赤坂真理『東京プリズン』/斎藤 環
・阿部和重『クエーサーと13番目の柱』/丹生谷貴志
・村田喜代子『光線』/蜂飼 耳
・斎藤 環『原発依存の精神構造』/山城むつみ
・戌井昭人『ひっ』/湯浅 学

■連載小説
・ニッチを探して(四)/島田雅彦
・双頭の船(七)/池澤夏樹
・満月の道(九)/宮本 輝

編集長から

芥川賞受賞第一作
鹿島田真希「ハルモニア」
◎先日、「冥土めぐり」で芥川賞を得た鹿島田真希氏は、受賞記念エッセイ「公的な不幸と私的な不幸」(文學界9月号)で、「震災のような公的な惨劇があった現在だからこそ、(略)最小の不幸をよく見つめ、繊細に描くべきだと私は思った」と記した◎本号掲載の鹿島田氏の受賞後最新作「ハルモニア」(120枚)は、音楽大学を舞台にした若き芸術家たちの青春劇だ。もちろん彼らにも「不幸」はあるけれど(創作から恋愛まで)、作品から響いてくるのは、音楽の歓びと仲間たちの友愛が彼らに与える「ヴィヴァーチェ(活発に速く、生き生きと)」と言いたいような明朗な活気だ。むろん、氏が青春の「最小の幸福」を描くときでさえ、「震災のような公的な惨劇」を忘却しているはずがない。むしろ、あらゆる幸福と不幸の彼方に輝くものを氏は希求しているはず。それは何か? 主人公の青年が恋する混血の学友の名はナジャ。スラブ語の意味は「希望」だ。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞