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新連載 上田岳弘「キュー」
新連載 今福龍太「新しい宮沢賢治」
橋本 治「草薙の剣 平成篇」

新潮 2017年10月号

(毎月7日発行)

特別定価998円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2017/09/07

発売日 2017/09/07
JANコード 4910049011072
定価 特別定価998円(税込)

キュー[新連載]/上田岳弘

幻の五輪開会式に「九」が鳴り響き、人類進化の黙示録が始まる。シンギュラリティ、個の廃止、世界最終戦争――IT時代の魔術的想像力が解放! (新潮×Yahoo! JAPAN共同企画)

◆草薙の剣――平成篇[二二〇枚]/橋本 治

昭和の終焉、バブル崩壊、大震災――国が老いていく。だが瓦礫の上に始まる生がある。日本人の心の百年史を描く最高傑作、完結!

◆Delusion/辻原 登

幻覚は数十分後に現実に再現される……。帰還した女性宇宙飛行士を惑わす知覚の変容。

◆を待ちながら[初戯曲]/山下澄人

「私は生まれる前からやめていた」――存在の根源を問い、〈言葉〉に手を伸ばす者たち。
◆死んで いる者たち[特別原稿]/佐々木 敦

死と生は対立概念なのか? 「を待ちながら」を創る二人の姿と批評家の記憶が交差する。
■■ 連載小説 ■■
◆格闘(八)/高樹のぶ子
◆野の春(十二)/宮本 輝
◆TIMELESS(十八)/朝吹真理子

■第十六回 小林秀雄賞発表
【受賞作】中動態の世界/國分功一郎
――意志と責任の考古学(一部掲載)
【選評】加藤典洋/関川夏央/橋本 治/堀江敏幸/養老孟司
新しい宮沢賢治[新連載]/今福龍太

悲劇はなぜ太平洋パシフィックで起きたのか?
地球的視座から賢治の生命倫理を捉える画期的論考!

■鶴見俊輔伝[第二回・一六〇枚]/黒川 創

日米開戦。ハーヴァード大の俊輔は収容所を経て帰国、海軍に属しつつ、哲学を模索する。
■小説の「幸福」とは何か?/野田康文
――金井美恵子『カストロの尻』論

■編集者 漱石[第六回]/長谷川郁夫
■小林秀雄[第四十八回]/大澤信亮
■地上に星座をつくる/石川直樹
第五十六回・はじめての富士山
■見えない音、聴こえない絵[第一五六回]/大竹伸朗
■本
・セース・ノーテボーム『儀式』/上野俊哉
・オマル・エル=アッカド『アメリカン・ウォー』/上岡伸雄
・諏訪哲史『岩塩の女王』/富岡幸一郎
・古川真人『四時過ぎの船』/星野智幸
・沼田真佑『影裏』/星野 太
・温又柔『真ん中の子どもたち』/山崎まどか

■新潮
・クリスチャン・マークレーの「時間」/安部ねり
・ネット時代の〈ニュース〉とは何か/石戸 諭
・昭和二十年夏、父の記憶/上岡伸雄
・『言葉の果ての写真家たち』刊行によせて/高橋義隆
・焼き立て!/松本敏治
・ブラジャーなんかに救われない/山田由梨

◆第49回《新潮新人賞》予選通過作品発表
第50回《新潮新人賞》応募規定
【選考委員】 ●大澤信亮 ●川上未映子 ●鴻巣友季子 ●田中慎弥 ●中村文則

この号の中吊り

立ち読み

編集長から

上田岳弘新連載「キュー」

上田岳弘の新連載小説「キュー」を開始する。新潮新人賞デビューから四年。一昨年の三島賞受賞作「私の恋人」、最新作「塔と重力」と、IT時代の魔術的想像力というべき独自な作品世界を次々に創出してきた気鋭だが、それにしても連載初回の展開には目を瞠った◎「キュー」の主題は知的生命体の進歩。その誕生から最終地点までに18の段階があり、まず〈言語の発生〉により知性を手に入れた人類は、この百年間に〈世界大戦〉〈原子力の解放〉〈インターネットの発生〉を通過した。だが、それは進化の全段階のうちの半分に過ぎない――作品はそう語る。では、残る9(キュー)の段階とは? 差し迫る次の進化とは? それを解き明かすのは、現代日本に生きる一人の心療内科医だ。旧作の数倍のスケールで展開される本作は、小説の新時代への合図(キュー)になるだろうか? ◎脱領域的な人類学者・今福龍太の新連載「新しい宮沢賢治」を開始する。第一回では早くも「銀河鉄道の夜」が未知の姿を現した。

新潮編集長 矢野 優

お知らせ

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞