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The Shincho
Monthly
December
2000
【表紙のことば】 「遠い過去の視線」藤原新也 
 今月で少女のシリーズを終える。実をいうとこれらの少女たちは私の郷里である門司港の開港100年に際して開かれた写真展のために撮られたものである。したがって少女たちはいずれも地元の普通の少女たちで、その表情には地方固有ののびやかさがある。私が自分の故郷を写真で表現するのになぜ少女を選んだかというと、故郷の思い出とはおそらく男性にとって少年期の思いでであり、少年期の思いでとは、その少年にまなざしをくれた少女たちの視線の思いでであるからだ。私はそんな過去の少女たちの視線を撮ったのである。



新潮12月号目次
 
[グラビア] さらば巨人軍 さらば20世紀

[特別読物]
さらば、東京巨人軍。
――鞠とゞまるは落つるとき
 (二五〇枚)   清水哲男

田圃野球から東京ドームまで。赤バット川上をラジオで聴き、V9と安保闘争に熱く燃え、長嶋引退に泣いた50年来の「正統派熱狂的巨人ファン」詩人の心中は今……。血涙をもって綴る訣別の歌!


山高帽   中薗英助

へいせい夢ばやし   ふくださち

《午後のパレット 最終回》
預言の鳥   森内俊雄

もどろき(二〇〇枚)          黒川 創

祖父は京の米屋で、自転車を偏愛した。その家が、いまは無人で朽ちていく。三世代の記憶に、父が発した「死に手紙(デッド・レター)」の行方は?


<新潮>
サッカーと三島由紀夫           久間十義
秋風とともに訪れたヴィヨン        宇佐美斉
単車で枯野を               片岡直子

〈Books in my life〉
呪文のような一冊との二人三脚       山折哲雄

《発言》
二百人の劇場            別役実

俳句と短詩型とフランスの詩人たち   イヴ・ボヌフォワ
川本皓嗣・訳 芳賀徹・解説

“大恋愛”の話           菅野昭正
 ――河野多惠子『秘事』をめぐって

富小路禎子  第九段――白の呪力      高橋順子

《21世紀への対話12》
時の廃墟へ     磯崎 新  沢木耕太郎

【2000年文学の旅】
プラハ、シカゴ、東京……          柴田元幸

【本】
三浦哲郎『短篇集モザイクⅢ わくらば』   三木卓
古井由吉『聖耳』              稲川方人
吉本ばなな『体は全部知っている』      藤野千夜
丸山健二『生者へ』             青野聰
前登志夫『明るき寂寥』           岡野弘彦

文芸時評                  川端香男里

◆連載◆
場所――第十二回 練馬高松町        瀬戸内寂聴
東大講義「人間の現在」           立花隆
父の肖像(三)               辻井喬
雲の都(十二)               加賀乙彦
天の夜曲(十六)              宮本輝
郊外の文学誌(連載完結)          川本三郎

新潮◆FORUM
Special     二人の大型新人
Champion     第4代朗読王・島田雅彦!
Talk Show    三木卓氏、英国の絵本画家とトークショー
Play       「アボジを踏む」東京公演
Web Magazine   福田和也氏、ネット・マガジン編集に乗り出す
Traveler     藤原新也・「旅の軌跡」展
Designer     新潮社装幀室の「ほんのお仕事」展

編集長から
第三十三回《新潮新人賞》応募規定


 
このホームページでは、月刊文芸雑誌「新潮」の内容紹介と記事の一部抜粋をご覧頂けます。「新潮」12月号は定価900円(税込)で全国書店にて発売中です。書店に在庫のない場合は、小社営業部読者係(電話03-3266-5111)までお問い合わせください。