新潮新書
「身につまされる」ということ

世の中、その立場や環境に身を置いてみないとわからないことは多々あるものです。まだまだ先だと思っていた親の介護がにわかに身に迫ってくるのは、40代後半ぐらい、得てして働き盛りの時分が多いようです。『介護未満の父に起きたこと』(ジェーン・スー・著)では、ペットボトルのキャップが開けられない、など「要介護」の前触れとして着実に起こる大小様々な日常トラブルにその都度どう対処してきたか、実用的な情報を交えて細かにつづります。コロナ禍を挟んだ5年間、多忙な自身の仕事をまっとうしながらサポートし続ける80代父親の一人暮らしとは──『生きるとか死ぬとか父親とか』同様、絶妙の距離感で描く、「老人以上、介護未満」の渦中にある父娘の異色ドキュメントです。
2025/08
日本人、母親、居酒屋──探究と解明

遠い昔の話になりますが、高校生の頃、日本史は大の得意科目でした。けれどいま振り返れば、その知識の大半は人物名やクロニクルみたいな時系列でしかなく、それもせいぜいが明治維新辺りまで。その後、戦争に明け暮れる自国の近現代史について、多少なりとも理解したのはほぼ中年も過ぎてからのことでした。
2025/07
健康、医療、メディアの未来

10年ほど前、『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』という本がミリオンセラーになりました。誰もが願う健康と長寿を、じつに簡単なメソッドに置き換えたシンプルなメッセージが、多くの読者にアピールしたことはまちがいないでしょう。
2025/06
ニュースには「その後」がある

「あの人は、今」──かつて週刊誌では、GWや年末年始の合併号では、定番の特集でした。成功であれ挫折であれ、一時はニュースの渦中の人になったものの、騒ぎが収まるとほとんど報じられない人たちの「その後の人生」を取材した記事ですが、最近はめっきり少なくなりました。
2025/05