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奉教人の死

芥川龍之介/著

473円(税込)

発売日:1968/11/19

  • 文庫

悪魔にたぶらかされる。先駆的作品と名高い「切支丹もの」11編を収録。

芥川は殉教者の心情や、東西の異質な文化の接触と融和という課題に興味を覚え、近代日本文学に“切支丹物”という新分野を開拓した。文禄・慶長ごろの口語文体にならったスタイルで、若く美しく信仰篤い切支丹奉教人の、哀しいが感動的な終焉を格調高く綴った名作「奉教人の死」、信仰と封建的な道徳心との相剋に悩み、身近な人情に従って生きた女を描く「おぎん」など、11編を収録。

目次
煙草と悪魔
さまよえる猶太人
奉教人の死
るしへる
きりしとほろ上人伝
黒衣聖母
神神の微笑
報恩記
おぎん
おしの
糸女覚え書
注解 神田由美子
解説 小川国夫

書誌情報

読み仮名 ホウキョウニンノシ
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
頁数 256ページ
ISBN 978-4-10-102504-9
C-CODE 0193
整理番号 あ-1-4
ジャンル 文芸作品
定価 473円

どういう本?

タイトロジー(タイトルを読む)

去んぬる頃、日本長崎の「さんた・るちや」と申す「えけれしや」(寺院)に「ろおれんぞ」と申すこの国の少年がござった。これは或年御降誕の祭の夜、その「えけれしや」の戸口に、飢え疲れてうち伏して居ったを参詣の奉教人衆が介抱し、それより伴天連の憐みにて、寺中に養われる事となったげでござるが、何故かその身の素性を問えば、故郷は「はらいそ」(天国)父の名は「でうす」(天主)などと、何時も事もなげな笑に紛らいて、とんとまことは明かした事もござない。(本書36ページ)

*奉教人 キリスト教徒。(本書注解195ページ)

著者プロフィール

芥川龍之介

アクタガワ・リュウノスケ

(1892-1927)東京生れ。東京帝大英文科卒。在学中から創作を始め、短編「鼻」が夏目漱石の激賞を受ける。その後今昔物語などから材を取った王朝もの「羅生門」「芋粥」「藪の中」、中国の説話によった童話「杜子春」などを次々と発表、大正文壇の寵児となる。西欧の短編小説の手法・様式を完全に身に付け、東西の文献資料に材を仰ぎながら、自身の主題を見事に小説化した傑作を多数発表。1925(大正14)年頃より体調がすぐれず、「唯ぼんやりした不安」のなか、薬物自殺。「歯車」「或阿呆の一生」などの遺稿が遺された。

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