日本三文オペラ
649円(税込)
発売日:1971/07/02
- 文庫
金はない。希望もない。秩序もない。大阪を舞台に、猥雑と醜怪の極限を描く、人間の本質を抉り出す快作。
大阪の旧陸軍工廠の広大な敷地にころがっている大砲、戦車、起重機、鉄骨などの残骸。この莫大な鉄材に目をつけた泥棒集団“アパッチ族”はさっそく緻密な作戦計画をたて、一糸乱れぬ組織力を動員、警察陣を尻目に、目ざす獲物に突進する。一見徒労なエネルギーの発散のなかに宿命的な人間存在の悲しい性を発見し、ギラギラと脂ぎった描写のなかに哀愁をただよわせた快作。
書誌情報
読み仮名 | ニホンサンモンオペラ |
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シリーズ名 | 新潮文庫 |
発行形態 | 文庫 |
判型 | 新潮文庫 |
頁数 | 352ページ |
ISBN | 978-4-10-112802-3 |
C-CODE | 0193 |
整理番号 | か-5-2 |
ジャンル | 文芸作品、文学賞受賞作家 |
定価 | 649円 |
著者プロフィール
開高健
カイコウ・タケシ
(1930-1989)大阪市生れ。大阪市立大卒。1958(昭和33)年、「裸の王様」で芥川賞を受賞して以来、「日本三文オペラ」「流亡記」など、次々に話題作を発表。1960年代になってからは、しばしばヴェトナムの戦場に赴く。その経験は「輝ける闇」「夏の闇」などに色濃く影を落としている。1978年、「玉、砕ける」で川端康成賞、1981年、一連のルポルタージュ文学により菊池寛賞、1986年、自伝的長編「耳の物語」で日本文学大賞を受けるなど、受賞多数。『開高健全集』全22巻(新潮社刊)。
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