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海辺の光景

安岡章太郎/著

605円(税込)

発売日:1965/04/22

  • 文庫

正気を失った母との最後の九日間。家族の相克と虚無的な心象風景を重ねた、戦後最高の文学的達成。

不思議なほど父を嫌っていた母は、死の床で「おとうさん」とかすれかかる声で云った──。精神を病み、海辺の病院に一年前から入院している母を、信太郎は父と見舞う。医者や看護人の対応にとまどいながら、息詰まる病室で九日間を過ごす。戦後の窮乏生活における思い出と母の死を、虚無的な心象風景に重ね合わせ、戦後最高の文学的達成といわれる表題作ほか全七編の小説集。

  • 受賞
    第10回 芸術選奨文部科学大臣賞 文学
目次
海辺の光景
宿題


秘密
ジングルベル
愛玩
解説 四方田犬彦

書誌情報

読み仮名 カイヘンノコウケイ
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
頁数 336ページ
ISBN 978-4-10-113001-9
C-CODE 0193
整理番号 や-6-1
ジャンル 文学賞受賞作家
定価 605円

著者プロフィール

安岡章太郎

ヤスオカ・ショウタロウ

(1920-2013)1920(大正9)年、高知市生れ。慶大在学中に入営、結核を患う。戦後、カリエスを病みながら小説を書き始め、1953(昭和28)年「陰気な愉しみ」「悪い仲間」で芥川賞受賞。弱者の視点から卑近な日常に潜む虚妄を描き、吉行淳之介らと共に「第三の新人」と目された。1959年「海辺の光景」で芸術選奨と野間文芸賞、1981年「流離譚」で日本文学大賞、1991(平成3)年「伯父の墓地」で川端康成賞を受けた。

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