
全電源喪失の記憶―証言・福島第1原発 日本の命運を賭けた5日間―
781円(税込)
発売日:2018/02/28
- 文庫
- 電子書籍あり
池上彰氏「これぞ調査報道の真骨頂!」揺れ動く人間を詳細に描く迫真のドキュメント。
東日本に大津波が押し寄せたあの日、濁流は福島第1原子力発電所をも飲み込んだ。全電源を喪失し制御不能となった原発。万策尽きた吉田昌郎所長は、一人一人の顔を眺めながら共に死ぬ人間を選んだ――。遺書を書き、家族に電話をかけ、嗚咽する人。現場に背を向けた人……。極限で彼らは何を思い、どう行動したか。絶望と死地を前にして揺れ動く人間を詳細に描いた、迫真のドキュメント。
目次
はじめに
福島第1原発構内図と1号機原子炉構造
プロローグ
第一章 3・11
史上最大の震災/無事でいてくれ/駆け上がる濁流/沖合9キロ/タービン建屋地下の悲劇/DGトリップ!/免震重要棟/全交流電源、喪失す/トップの不在/原発に向かう者たち
第二章 爪痕
電源設備、調査せよ/口を開けるマンホール/注水ラインを構築せよ/頼みは協力企業/車のバッテリー/振り下ろしたハンマー/「もう全滅だ」/情報なき首相官邸/正門の明かりは消えていた/格納容器ベント準備せよ/挙げられなかった右手
第三章 1号機爆発
首相、原発へ/「爆発はしません」/響き渡った怒声/黄色い死に神/「万が一」は今/ついに針は振り切れた/出動命令/トリプルX/白い煙/原発安全神話/この世の終わり/飛んできた鉄骨/野戦病院/最後の写真
第四章 制御不能
福島第2原発の苦闘/桜のトンネル/タイムリミット/「ふざけんじゃねえ」/「カン首相」の電話/カメラは見ていた/テレビで知った官邸/命の保証/吉田の機転/ごめんね/駐屯地への帰還/暗闇に飛ぶ火花/遺書
第五章 東電の敗北
真水か海水か/逆洗弁ピット/危険な食事/3号機、爆発/怖い、怖い、怖い/やるしかねえべ/病院を目指して/神が与えた試練/バスを用意せよ/邪魔をするな/限界突破/お母さん、逃げて/必ず生きて帰る/全面撤退/ただ祈るだけ
第六章 選択
撤退はあり得ない/サプチャン圧力ゼロ/2Fに向かえ/目撃者/そして退避が始まった/君は出なさい/墓標/衝撃音の正体/5台の避難バス/運転員の意地/「フクシマ50」/退避は完了した/絶対に引かない/まだ戦える
第七章 反転攻勢
米国の懸念/「日本は隠している」/この国の存在感/北へ向かえ/モニタリングヘリ離陸/ハーモニックT/迫る日没/落胆する官邸/目標は3号機/決行せよ/事に臨んでは/歓声/日米首脳会談/任務は成功
第八章 1F汚染
コンクリートポンプ車/日本のために/愛称はキリン/死ぬのか、死なんのか/福島に希望はあるか/汚された山村/駅前に人影なく/代わりはいない/地下の汚染水/被ばく事故/所長、東京へ
最終章 命
海王丸/当直長の帰還/うそつき/家族との再会/母になった運転員/最悪のシナリオ/2人を捜しに/広大な建屋地下で/黙祷/首にかかったIDカード/泣いてはいけない/吉田昌郎という男/じゃあね/最後の言葉/俺と死ぬのは誰だ
あのとき何があったのか――解説に代えて 池上彰
書誌情報
読み仮名 | ゼンデンゲンソウシツノキオクショウゲンフクシマダイイチゲンパツニホンノメイウンヲカケタイツカカン |
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シリーズ名 | 新潮文庫 |
装幀 | (C)Abaca/カバー写真、amanaimages/カバー写真、新潮社装幀室/デザイン |
発行形態 | 文庫、電子書籍 |
判型 | 新潮文庫 |
頁数 | 480ページ |
ISBN | 978-4-10-121216-6 |
C-CODE | 0195 |
整理番号 | き-47-1 |
ジャンル | ノンフィクション |
定価 | 781円 |
電子書籍 価格 | 781円 |
電子書籍 配信開始日 | 2021/03/05 |
著者プロフィール
共同通信社原発事故取材班
キョウドウツウシンシャゲンパツジコシュザイハン
高橋秀樹
タカハシ・ヒデキ
1964(昭和39)年東京都出身。共同通信社に入社後、札幌支社、さいたま支局、本社社会部などを経て、原子力報道室担当部長・編集委員。
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