親鸞「四つの謎」を解く
924円(税込)
発売日:2017/04/28
- 文庫
「梅原日本学」が、「異端の書」中の伝承から導き出した、聖人理解の新境地!
『歎異抄』を旧制中学時代から愛読し、長い間、親鸞に関心を持ち続けてきた著者が、それまで答えが見出せなかった根本的な謎に迫る! なぜ出家したのか? 法然門下に入ったのはなぜか? タブーを破り妻帯した理由、悪の自覚に関する疑問……大きな四つの謎を解くため、今まで見捨てられていた「異端の書」の中の伝承に着目し、これまでにない聖人理解に結びつけた梅原日本学の新境地!
目次
はじめに――なぜ今、親鸞を書きたいのか
序章 親鸞にまつわる積年の「四つの謎」
一、親鸞の出家の謎について/二、法然門下に入った謎について/三、結婚の謎について/四、親鸞の悪の自覚の謎について
第一章 謎を解き明かす鍵、『親鸞聖人正明伝』
なぜ真の親鸞像は描かれなかったのか――赤松俊秀の功罪/山田文昭の実証主義的文献研究の誤り/存在を否定された『正明伝』の宿命/水と油の性格だった、父・覚如と息子・存覚の確執/覚如没後一周年で書かれた書/平松令三への反論、そして『親鸞始記』という“爆弾”
第二章 『正明伝』の痕跡を求めて――京都・常楽寺、三重・専修寺へ
親鸞の玄孫、存覚の子孫に会いにゆく/直筆の『存覚袖日記』と親鸞の遺骨を納めた宝塔/初めて『正明伝』を見る/今後の大発見も期待される遺品の宝庫
第三章 もう一つの鍵、そして「第一の謎」への挑戦
名探偵・西山深草の大胆不敵な説/親鸞の母親は源義朝の娘であった……/死んだと称して実は生きていた父、そして解けた「第一の謎」
第四章 「名利の衣」を脱ぎ捨てた理由「第二の謎」
優れた物語作家であった覚如と存覚/稀代の怪僧、慈円の五つの顔/善と悪を使い分ける老獪な政治僧/『北野天神縁起絵巻』に秘められた呪詛/学僧として名を成す比叡山時代/余命十年と告げられた「第一の夢告」/卑しい土石でありながら尊い太陽の火をとる「玉日」/師、慈円の窮地を救った歌の使者/「第二の夢告」が導いた法然門下入門
第五章 僧の結婚が意味するもの「第三の謎」
失墜した権力者、九条兼実の帰依/念仏往生を説く“日本のデカルト”法然/浮世に塗れる兼実の問いかけ/法然と式子内親王との秘めたる恋/阿弥陀の教えを証すための結婚/セックスを肯定した「第三の夢告」/釈迦仏教以来の破戒、それは女性救済への道/日本で起きた「第二の仏教革命」
第六章 親鸞の妻、玉日の足跡を求めて
『正明伝』『秘伝鈔』『御因縁』、三書に書かれた結婚譚の相違/『尊卑分脈』に記された「月輪関白女」/東京・杉並の真教寺に残る三体像/終の棲家、五条西洞院に立つ二寺/親鸞流罪後の玉日の様子を伝える西岸寺
第七章 結婚後、『正明伝』に描かれた東国時代
意志の人、覚如と認識の人、存覚/流罪後の一時帰京を描く『正明伝』/「第三の夢告」東国布教が実現した稲田郷/東国における五つの怪異譚/なぜ怨霊鎮魂の話が語られたのか/いざ東国の地へ――結城・称名寺/天童のお告げにより設けられた根本道場――高田専修寺「本寺」/吉原の遊女も尊祟する玉日――稲田草庵/布教の初期形態が残る――大山禅坊阿弥陀寺/帰依した山伏が創建した法専寺/「亡霊済度」を裏づける地――二つの阿弥陀堂
第八章 『教行信証』に描かれた悪の自覚と「二種廻向」
法然も語っていた「悪人正機説」/絶対に許されぬ罪、「五逆」/『涅槃経』に描かれたその後の阿闍世/「六師外道」たちの助言/果して阿闍世は救われたのか/そして解けた「第四の謎」/近代真宗学が口を閉ざした「二種廻向」説/この世に還る「第五の門」/遺伝子に組み込まれた永遠の“生まれ変わり”/齢九十にして至った親鸞悟りの境地――「等正覚」
主要参考文献、取材協力/親鸞に関する略年譜
解説 佐藤洋二郎
解説 佐藤洋二郎
書誌情報
読み仮名 | シンランヨッツノナゾヲトク |
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シリーズ名 | 新潮文庫 |
装幀 | 親鸞聖人坐像(京都・光圓寺蔵)/カバー写真、歎異抄(京都・西本願寺蔵)/カバー写真、広瀬達郎(新潮社写真部)/カバー撮影、新潮社装幀室/デザイン |
雑誌から生まれた本 | 芸術新潮から生まれた本 |
発行形態 | 文庫 |
判型 | 新潮文庫 |
頁数 | 408ページ |
ISBN | 978-4-10-124415-0 |
C-CODE | 0195 |
整理番号 | う-5-15 |
ジャンル | 宗教 |
定価 | 924円 |