心の深みへ―「うつ社会」脱出のために―
605円(税込)
発売日:2013/02/28
- 文庫
現代という困難な時代を生きていくうえであなたを支える言葉の数々。きっと見つかる。
二十世紀における科学の進歩と物質的豊かさの広がりは、果たして私たちを本当の意味でしあわせにしたのか? 生と性の問題、死と死後の世界、信仰、たましいの存在……心理学者にして心理療法家であった河合隼雄氏が生前、ノンフィクション作家の柳田邦男氏と縦横無尽の議論を繰り広げ、心の問題をとことん掘り下げた珠玉の対談集。昏迷をきわめる現代だからこそ、胸に沁みる一冊。
はじめに――「心の問題」を掘りさげあう 河合隼雄
はじめに――追い求めて二十年 柳田邦男
臨床心理家の目
夢日記、夢分析
日本人の個人主義
コスモロジーで感じあう
死を意識すると、しないとでは
自我を超えて
悪者探しをするな
誰もが神話をもっている
アイデンティティを確立するということ
歴史的大実験の結末
もう二者択一の思考法は通じない
白か黒か明らかにできないところ
元気の出るインフォームド・コンセント
悩みが深くなっている
社会のパターンにはまらない生き方
二人称の性、三人称の性
「たましい」を忘れていた
仏教への予感
はじめに「もの」、次に「心」でやってきて
日本人の生き方が壊された
子どもが怒るのはあたりまえ
成績か個性か
子どもはお金で買えないものを待っている
事実を究明するだけでは見えてこないこと
測れないものの価値を見なおす
エリザベス・キューブラー=ロスの闘い
死にゆく人の心理
ユングにとっての死、ロスにとっての死
個性化の道を歩もうとするなら
ソンダースという生き方
心の中の黒ウサギと四十年生きて
「私の現実」がある
内観体験で劇的に感じたこと
死ぬことは敗北か、苦痛は奪うべきか
人生最後に学ぶこと
極限的な事態に直面したとき
価値観のどんでん返し
死んでいく人がもつ十字架の重さ
『星の王子さま』も宮沢賢治も
脳死の息子との十一日間
それぞれの家族と個人にふさわしい最期
再出発のために
必死にコンステレーションを考えた
科学技術と人間の精神とのあいだのアンバランス
情報通も自分と家族については何もわからない
言葉以前の関係
人の深層心理に横たわるもの
本能とは違う体系が肥大化
肌と肌で感じるもの
「心の自然破壊」現象
爆発型から低温発酵型へ
この先どうなるか
大きな行き詰まり感の中で
生まれてきた価値
おにぎりで治る!?
幸福のコンセプトが壊れた
お金や力にかわるもの
日本語力が問われている
絵本に注目!
人は誰でも自然に伸びる
グローバリズムにやられないために
書誌情報
読み仮名 | ココロノフカミヘウツシャカイダッシュツノタメニ |
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シリーズ名 | 新潮文庫 |
発行形態 | 文庫 |
判型 | 新潮文庫 |
頁数 | 320ページ |
ISBN | 978-4-10-125231-5 |
C-CODE | 0195 |
整理番号 | か-27-11 |
ジャンル | 社会学 |
定価 | 605円 |
著者プロフィール
河合隼雄
カワイ・ハヤオ
(1928-2007)兵庫県生れ。京大理学部卒。京大教授。日本におけるユング派心理学の第一人者であり、臨床心理学者。文化功労者。文化庁長官を務める。独自の視点から日本の文化や社会、日本人の精神構造を考察し続け、物語世界にも造詣が深かった。著書は『昔話と日本人の心』(大佛次郎賞)『明恵 夢を生きる』(新潮学芸賞)『こころの処方箋』『猫だましい』『大人の友情』『心の扉を開く』『縦糸横糸』『泣き虫ハァちゃん』など多数。
柳田邦男
ヤナギダ・クニオ
1936(昭和11)年、栃木県生れ。1995(平成7)年『犠牲―わが息子・脳死の11日』とノンフィクション・ジャンル確立への貢献が高く評価され菊池寛賞受賞。災害・事故・公害問題や、生と死、言葉と心の危機、子どもの人格形成とメディア等の問題について積極的に発言している。主な近著に『壊れる日本人』『「気づき」の力』『生きなおす力』『人の痛みを感じる国家』『新・がん50人の勇気』『僕は9歳のときから死と向きあってきた』『「想定外」の罠―大震災と原発』『生きる力、絵本の力』『終わらない原発事故と「日本病」』『言葉が立ち上がる時』がある。翻訳絵本に『ヤクーバとライオン』『少年の木』『その手に1本の苗木を』『やめて!』等多数。