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父という余分なもの―サルに探る文明の起源―

山極寿一/著

649円(税込)

発売日:2015/01/28

  • 文庫

人類の歩みは「父」の創造から始まる――いま注目のゴリラ学者による刺激的文明論!

人類の歩みは「父」の創造から始まった――ゴリラ研究の第一人者が、丹念なフィールドワークと深い洞察に基づいて、人類に備わる特性のルーツに迫る。なぜヒトは家族で暮らすのか、父親の存在とは何か。恋愛、同性愛、遊び、食事……。コンゴの森に分け入り、野生のゴリラと触れ合って研究を続ける霊長類学者が、「父性」を手がかりにヒトの社会を考察する。発見に満ちた文明論!

目次
プロローグ 父という余分なもの
父親を内在する文化/サルに父親はいない/ゴリラに見る父親の起源/初期人類の父親像


直立歩行は舌から始まった
舌の特別な能力/食事という社会交渉/味覚の推理能力/人類が立ち上がった理由/見つめ合う行為から生まれたもの
異国の女性が美人に見えるわけ
群れで旅する動物たち/霊長類の旅は個体単位/母系、父系で異なる旅/遊びがパスポート
同性愛はなぜあるか
遊びと同性愛/マウンテンゴリラの観察事例/オスたちの相姦図/異性間交尾との比較/純粋に性的なもの/のぞき込み行動の意味/想像力による性の演出/ゴリラの同性愛と人類の同性愛
II

家族という複雑系
変わりゆく進化論と世界観/進化と共生/多様性とホミニゼーション/アフリカ類人猿の共存関係/複雑な世界の認知/共食と家族
父系の二つの源流
父系社会の進化/果実食の世界/分散様式の類似と相違/性差に現れる社会関係/類人猿の社会と性/クモザルたちの不思議な性交渉/多様な性/二つの社会進化
III

ゴリラと暮らす
受難の歴史/背中の威厳/竹の子の季節/最後の楽園/菜食主義者/遊動生活/密猟/ゴリラとの握手/オス同士の反目/アンクル・バート物語/オスの魅力と集団の盛衰/オスの一生――一人旅の宿命/メスの一生――集団から集団へ/子別れ/性の世界――誘惑の方法/嬰児殺し/子育てをする父親/父親と息子のきずな/配偶関係の確立
IV

サルに探る文明の起源 [対話=三浦雅士]
サルとの出会い/ニホンザルのルーツを追って/ヒトとゴリラの距離は近い/ヒトとチンパンジーの混血は不可能か?/なぜゴリラを選んだか?/現代人と原人は共存していた/人類は熱帯雨林で進化した/サルにない人間の能力/人間の能力としてのシャーマニズム/食事とセックスの関係/ゴリラは食用/お尻がパスポート/異邦人に惹かれる/発情をかくす戦略/「愛」の起源/サルは自殺しないか?/チンパンジーの自我/母であり恋人であること/ゴリラのユーモア/言語の起源/なぜヒトは大人になっても遊ぶか?/集団催眠という文化

エピローグ ゴリラがヒトを救うとき
ヒトの窮地を理解/ヒトはゴリラかチンパンジーか
あとがき
文庫版へのあとがき  山極寿一

ごつい思想、密な調査、深い知恵(解説)  鷲田清一

書誌情報

読み仮名 チチトイウヨブンナモノサルニサグルブンメイノキゲン
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
頁数 336ページ
ISBN 978-4-10-126591-9
C-CODE 0195
整理番号 や-74-1
ジャンル 生物・バイオテクノロジー
定価 649円

著者プロフィール

山極寿一

ヤマギワ・ジュイチ

1952(昭和27)年、東京都生れ。霊長類学者、ゴリラ研究の第一人者。京都大学理学部卒、同大学院で博士号取得。京都大学霊長類研究所などを経て同大学教授、京都大学総長。2021(令和3)年より総合地球環境学研究所所長。著書に『父という余分なもの―サルに探る文明の起源―』『虫とゴリラ』(養老孟司と共著)ほか多数。河合隼雄学芸賞選考委員。

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