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生きてゆく力

宮尾登美子/著

693円(税込)

発売日:2012/08/28

  • 文庫

どんな出会いも糧にして――。創作の原動力となった激動の半生。万感の想いが込められた自伝的エッセイ。

貧しい家の少女たちを妓楼に斡旋することを生業としていた父への怨みと憤り。姉妹のように育った「仕込みっ子」たちの、芸妓、娼妓となってからの哀しい末路。幼子を抱え結核を患いながらも、農家の嫁として家事をこなした日々。満州で夜空の満月を仰いでは想いを馳せた、故郷の豊かな川。創作の原動力となった心に突き刺さる思い出を、万感の想いを込めて綴った自伝的エッセイ。

目次
第一部 心に突き刺さる思い出
耐え忍んだ貧しさ
赤貧の裏長屋
かりそめの家族
戸籍もない
継子でも、継親でも
亀さんの号泣
女子衆さん
「ねえちゃん」の知らん顔
私の結核
代参の効き目
運命を受け入れて
仕込みっ子たち
初対面の儀式
身代金三百円
自分を売った親
「一人でがんばってやったよ」
二度目の音信不通
流れ流れて
父の愛犬
ドリの瞳
昭和への愛着
上は洋服、下は下駄
流しのもの売り
運の強い着物
「フ、ォウド」の運転手
父の櫓舟と動力船
いちばん始めは一の宮
正月の禁忌あれこれ
いまわのきわに食べたいものは
初めての苺ミルク
そうめんの夢
温突(オンドル)とじゃがいも
難民収容所の高粱粥(コーリャンがゆ)
夜売りの魚
楊梅(やまもも)も、キビ団子も
帰り道の飴玉
「できた嫁さん」だった訳
第二部 感動を拾い集めて

立春大吉
咲いてうれしく、散ってさびしい桜
着物あれこれ
六月の雨
父と娘の一九四五年
ふるさとの水
飲馬河(インバホウ)の米
上野本牧亭
惚れた魚屋さん
まぼろしの料理──土佐の味あれこれ
あらためて、感無量
親と呼ぶべき六人の最期
照れやのお母さん──宇野千代さんの思い出
私が描いた京おんな
平家物語に挑む
絵画とも見まがう錦
寒さの夏に──二〇〇九年九月の日記
休筆のあとで
文庫版あとがき
解説 大森望

書誌情報

読み仮名 イキテユクチカラ
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
頁数 272ページ
ISBN 978-4-10-129320-2
C-CODE 0195
整理番号 み-11-19
ジャンル エッセー・随筆、文学賞受賞作家
定価 693円

著者プロフィール

宮尾登美子

ミヤオ・トミコ

1926(大正15)年、高知市生れ。17歳で結婚、夫と共に満州へ渡り、敗戦。九死に一生の辛苦を経て1946(昭和21)年帰郷。県社会福祉協議会に勤めながら執筆した1962年の「連」で女流新人賞。上京後、九年余を費し1972年に上梓した「櫂」が太宰治賞、1978年の『一絃の琴』により直木賞受賞。2009(平成21)年文化功労者となる。他の作品に『序の舞』(吉川英治文学賞)『春燈』『朱夏』『寒椿』『宮尾本平家物語』『錦』など。

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