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百鬼園随筆

内田百閒/著

649円(税込)

発売日:2002/05/01

書誌情報

読み仮名 ヒャクキエンズイヒツ
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
ISBN 978-4-10-135631-0
C-CODE 0195
整理番号 う-12-1
ジャンル エッセー・随筆、評論・文学研究、ノンフィクション、ビジネス・経済
定価 649円

軽妙洒脱な百鬼園ワールド。名著復刊!

漱石門下の異才・内田百けんの代表的著作のひとつに数えられるこの随筆集は、昭和8年に上梓されるや大いに評判を呼び、昭和初期の随筆ブームの先駆けとなった。漱石の思い出から自らの借金話まで、軽妙洒脱、かつ飄逸な味わいを持つ独特の名文で綴られた作品群は、まさに香り高い美酒の滋味妙味たっぷり。洛陽の紙価を高めた古典的名著が、読みやすい新字新かな遣いで新潮文庫に登場。

担当編集者のひとこと

 深夜のラジオで、伊集院光さんがカフカの「お父さんは心配なんだよ」(多和田葉子さんの訳。従来の訳では、題は『父の気がかり』他)の素晴らしい朗読をしていました。例のオドラデクという謎の生物が出て来る掌編小説。
 それは星形の糸巻のように見えるし、現に糸くずみたいなものが巻かれている。星形の真ん中からは小さな棒が突き出していて、その棒には直角にもう一本の棒がついている。それを片方の脚、星形のとがりの一つをもう片方の脚にして立つことができる。屋根裏部屋や階段や廊下などにいて、時々姿を消すが、やがて家に帰ってくる。小さいから、私は子供に話しかけるように語りかけてしまう。「君、名前は?」「オドラデク」。オドラデクが私の死後も子供や孫たちの前に現れるかと思うと私は「何だか心が病む」。
 このオドラデクという生物の魅力は澁澤龍彥さん他さまざまな人が語っていますし、安部公房さんの「ユープケッチャ」もこの影響下にありそうです。しかし私が朗読で胸を打たれたのは末尾の無常感にも近いような〔心の痛み〕で、内田百閒のやはり掌編「琥珀」(『百鬼園随筆』)を思い出しました。
 内田少年は松脂が地中に何万年も埋もれて、やがて琥珀になることを知り、松脂を土に埋めます。しかし何万年も待つことを想像すると、「気がかりで、不安で、待遠しくて、予習も勉強も何も出来ない」。そして……。百閒の少年の不安はカフカのお父さんの心配と響き合います。どちらも文庫で二、三ページの名品、何度でも何年でも楽しめますのでぜひ。(出版部・K)

2020/11/27

著者プロフィール

内田百閒

ウチダ・ヒャッケン

(1889-1971)本名・内田栄造。別号・百鬼園。岡山市に酒造家の一人息子として生れる。旧制六高を経て、東京大学独文科に入学。漱石門下の一員となり芥川龍之介、鈴木三重吉、小宮豊隆、森田草平らと親交を結ぶ。東大卒業後は陸軍士官学校、海軍機関学校、法政大学のドイツ語教授を歴任。1934(昭和9)年、法大を辞職して文筆家の生活に入った。初期の小説には『冥途』『旅順入城式』などの秀作があり、『百鬼園随筆』で独自の文学的世界を確立。俳諧的な風刺とユーモアの中に、人生の深遠をのぞかせる独特の作風を持つ。著作に『続百鬼園随筆』『百鬼園俳句帖』『御馳走帖』『ノラや』、小説『実説艸平記』『阿房列車』等がある。

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