
永遠の夫
649円(税込)
発売日:1979/07/03
- 文庫
妻の浮気も黙認し、守ったものは「夫の座」。亭主であるほかに何の能もない男の悲哀を描く大文豪の異色作。
生涯ただただ“夫”であるにすぎない男、妻はつぎつぎに愛人を替えていくのに、その妻にしがみついているしか能のない“永遠の夫”の物語。ある深夜、ヴェリチャーニノフは、帽子に喪章をつけたトルソーツキーの訪問を受け、かつて関係のあった彼の妻の死を告げられる。……屈辱に甘んじながら演じられる男の不可解な言動、卑屈さと根強い復讐心に揺れ動く深層心理を照射した名編。
書誌情報
読み仮名 | エイエンノオット |
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シリーズ名 | 新潮文庫 |
発行形態 | 文庫 |
判型 | 新潮文庫 |
頁数 | 320ページ |
ISBN | 978-4-10-201007-5 |
C-CODE | 0197 |
整理番号 | ト-1-6 |
ジャンル | 文芸作品 |
定価 | 649円 |
著者プロフィール
ドストエフスキー
Фёдор М.Достоевский
(1821-1881)19世紀ロシア文学を代表する世界的巨匠。父はモスクワの慈善病院の医師。1846年の処女作『貧しき人びと』が絶賛を受けるが、1849年、空想的社会主義に関係して逮捕され、シベリアに流刑。この時持病の癲癇が悪化した。出獄すると『死の家の記録』等で復帰。1861年の農奴解放前後の過渡的矛盾の只中にあって、鋭い直観で時代状況の本質を捉え、『地下室の手記』を皮切りに『罪と罰』『白痴』『悪霊』『未成年』『カラマーゾフの兄弟』等、「現代の予言書」とまでよばれた文学を創造した。
千種堅
チグサ・ケン
1930年東京生れ。東京外国語大学卒。イタリア・ロシア文学翻訳家。1978年、第一回マルコ・ポーロ賞受賞。主な訳書にモラヴィア『1934年』、著書に『ダンテの末裔たち』などがある。
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