地下室の手記
649円(税込)
発売日:1970/01/01
- 文庫
- 電子書籍あり
誰にも愛されたことがない。人を愛したこともない。社会から隔離された暗闇の部屋で綴られる、どす黒き魂の軌跡。
極端な自意識過剰から一般社会との関係を絶ち、地下の小世界に閉じこもった小官吏の独白を通して、理性による社会改造の可能性を否定し、人間の本性は非合理的なものであることを主張する。人間の行動と無為を規定する黒い実存の流れを見つめた本書は、初期の人道主義的作品から後期の大作群への転換点をなし、ジッドによって「ドストエフスキーの全作品を解く鍵」と評された。
書誌情報
読み仮名 | チカシツノシュキ |
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シリーズ名 | 新潮文庫 |
発行形態 | 文庫、電子書籍 |
判型 | 新潮文庫 |
頁数 | 272ページ |
ISBN | 978-4-10-201009-9 |
C-CODE | 0197 |
整理番号 | ト-1-8 |
ジャンル | 文芸作品 |
定価 | 649円 |
電子書籍 価格 | 572円 |
電子書籍 配信開始日 | 2016/04/22 |
著者プロフィール
ドストエフスキー
Фёдор М.Достоевский
(1821-1881)19世紀ロシア文学を代表する世界的巨匠。父はモスクワの慈善病院の医師。1846年の処女作『貧しき人びと』が絶賛を受けるが、1849年、空想的社会主義に関係して逮捕され、シベリアに流刑。この時持病の癲癇が悪化した。出獄すると『死の家の記録』等で復帰。1861年の農奴解放前後の過渡的矛盾の只中にあって、鋭い直観で時代状況の本質を捉え、『地下室の手記』を皮切りに『罪と罰』『白痴』『悪霊』『未成年』『カラマーゾフの兄弟』等、「現代の予言書」とまでよばれた文学を創造した。
江川卓
エガワ・タク
(1927-2001)1927年東京生れ。東京大学法学部卒。ロシア語は独学で、終戦後実地で鍛えあげた。『謎とき「罪と罰」』(読売文学賞)等の著書、パステルナーク『ドクトル・ジバゴ』等の翻訳がある。2001年、病没。
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