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芝生の復讐

リチャード・ブローティガン/著 、藤本和子/訳

572円(税込)

発売日:2008/03/28

  • 文庫

メランコリアの王国へ――。『アメリカの鱒釣り』の作家の傑作短篇集。「ブローティガンと翻訳家・藤本和子。大学時代、この二人に出会わなければ、私はまるでちがう人生を歩んでいただろう。」(解説より)――岸本佐知子

雨に濡れそぼつ子ども時代の記憶と、カリフォルニアの陽光。その明暗のはざまに浮かびあがる、メランコリアの王国。密造酒をつくる堂々たる祖母、燃やされる梨の木、哀しい迷子の仔犬、ネグリジェを着た熊、失われた恋と墓のようなコーヒー、西瓜を食べる美しい娘たち……。囁きながら流れてゆく清冽な小川のような62の物語。『アメリカの鱒釣り』の作家が遺したもっとも美しい短篇集。

目次
芝生の復讐
一六九二年版コットン・マザー・ニュース映画
1/3 1/3 1/3
カリフォルニアは招く
カリフォルニア現代生活に関する短篇
太平洋のラジオ火事のこと
エルマイラ
コーヒー
『アメリカの鱒釣り』から失われた二章
  ――「レンブラント・クリーク」と「カーセイジ川の凹地」
サン・フランシスコの天気
こみいった銀行問題
シンガポールの高い建物
無限の三五ミリ・フィルム
スカルラッティが仇となり
天の鳥たち
冬の絨緞
アーネスト・ヘミングウェイのタイピスト
サン・フランシスコYMCA讃歌
きれいなオフィス
庭はなぜ要るのか
年寄りバス
タコマの亡霊の子供ら
談話番組(トーク・ショウ)
きみのことを話していたのさ
万聖節の宵祭は船でゆく海原
やぶいちごモータリスト
ソローのゴム輪
44/40
完璧にカリフォルニア的な日のこと
東オレゴンの郵便局
青白い大理石の映画
相棒
たがいを知ること
オレゴン小史
ずっと昔、人々はアメリカに住むと決めた
カリフォルニアの宗教・小史
いまいましい四月
一九三九年のある午後のこと
伍長
糸くず
ドイツおよび日本両国全史
競売
装甲車
カリフォルニア一九六四年の文学生活
みずから選びし旗じるし
カリフォルニア一九六四年において高名であること
ある娘の思い出
九月のカリフォルニア
習作・カリフォルニアの花
裏切られた王国
朝がきて、女たちは服を着る
デンヴァーのハロウィーン
アトランティスバーグ
犬の塔からの眺め
グレイハウンド・バスの悲劇
気のふれた老婆たちが、今日のアメリカのバスに乗っている
正しい時刻
ドイツの休日
砂の城
許してあげよう
星条旗うつし絵
第一次世界大戦ロサンジェルス航空機
裏切りとメランコリア――訳者あとがき
ふたたび、訳者あとがき
紀ノ国屋スーパーのリチャード・ブローティガン 岸本佐知子

書誌情報

読み仮名 シバフノフクシュウ
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
頁数 272ページ
ISBN 978-4-10-214703-0
C-CODE 0197
整理番号 フ-20-3
ジャンル 文芸作品、評論・文学研究
定価 572円

著者プロフィール

(1935-1984)1935年ワシントン州タコマ生れ。1956年、ケルアック、ギンズバーグらビート・ジェネレーションの作家が集うサンフランシスコへ。だが彼らとは一線を画し、7年におよぶ長い詩作の時間をすごす。1960年代はじめ、初の小説『アメリカの鱒釣り』を執筆。1967年に刊行された同書は世界中で200万部のベストセラーに。ブローティガンは一躍カウンターカルチャーのイコン的存在となる。その後、『芝生の復讐』『西瓜糖の日々』『ビッグ・サーの南軍将軍』(いずれも藤本和子訳)など、イメージの万華鏡ともいわれる風変わりで愛すべき傑作を執筆。1984年、ピストル自殺。

藤本和子

フジモト・カズコ

1939年東京生まれ。翻訳家・作家。1975年、初めての訳書、ブローティガン『アメリカの鱒釣り』を刊行。作品の魅力をまっすぐに伝えるその斬新な訳文は、のちの翻訳にも大きな影響を与える。訳書に、ブローティガン『芝生の復讐』『西瓜糖の日々』『ビッグ・サーの南軍将軍』『ホークライン家の怪物』『東京モンタナ急行』ほか、トニ・モリスン『タール・ベイビー』、レイチェル・ナオミ・リーメン『失われた物語を求めて』など多数。著書に『リチャード・ブローティガン』『ブルースだってただの唄』『イリノイ遠景近景』ほか。編訳書に、シドニー・W・ミンツ『〔聞書〕アフリカン・アメリカン文化の誕生』がある。イリノイ州在住。

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