
「赤」の誘惑―フィクション論序説―
2,640円(税込)
発売日:2007/03/30
読み仮名 | アカノユウワクフィクションロンジョセツ |
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雑誌から生まれた本 | 考える人から生まれた本 |
発行形態 | 書籍 |
判型 | 四六判変型 |
頁数 | 287ページ |
ISBN | 978-4-10-304351-5 |
C-CODE | 0095 |
ジャンル | 評論・文学研究、ノンフィクション |
定価 | 2,640円 |
あまたの文芸作品の中で永く眠っていた一つの色が、いま目覚める――。
漱石、子規、鴎外、ポー、ドイル、ハメットなど多くの名作の中にひっそりと生れ、作者と読者を静かに誘い、やがて火の如く世界を染め上げる魔性の色=「赤」。この色と「フィクション」との驚きに満ちた関係が徹底的に考察され、ギリシャ的な図式や多くの理論家の呪縛から読者を解放する、フィクション論の決定版。
目次
序章 「誘惑」から「擁護」へ
I 「赤」の誘惑
『赤頭巾』から『赤い靴』へ
「赤」の氾濫
「赤い」ことと「赤くなる」こと
フィクションの「赤」
「赤」の氾濫
「赤い」ことと「赤くなる」こと
フィクションの「赤」
II 理論と混乱
「混沌」として「退嬰的」な
「指示」という罠
語彙論的な羞恥心
「赤頭巾」、ふたたび
「指示」という罠
語彙論的な羞恥心
「赤頭巾」、ふたたび
III 可能世界と構造分析
みたび、『赤頭巾』
またしても、『赤頭巾』
最後に、『赤頭巾』
またしても、『赤頭巾』
最後に、『赤頭巾』
IV 小壮歴史家の書斎で
意識された嘘
フィクション的許容度
理論的な錯誤
「火を点す女」
フィクション的許容度
理論的な錯誤
「火を点す女」
V 編みものをする女
茶色の靴下
「赤茶色」で「毛編み」の
模倣:ミメーシス
ギリシャ人と近代人
編み上げられなかった靴下
「赤茶色」で「毛編み」の
模倣:ミメーシス
ギリシャ人と近代人
編み上げられなかった靴下
VI ギャラリーから市街電車へ
「赤」と崇高
ミメーシスからセミオシスへ
紅海のほとりの枢機卿たち
「仕舞には世の中が真赤になった」
ミメーシスからセミオシスへ
紅海のほとりの枢機卿たち
「仕舞には世の中が真赤になった」
VII 「類推の魔」
母音と色彩
アリストテレス的な呪縛
ソクラテスとプルースト
詩的言語のミモロジック
「詩的なるもの」と「散文的なるもの」
アリストテレス的な呪縛
ソクラテスとプルースト
詩的言語のミモロジック
「詩的なるもの」と「散文的なるもの」
VIII 地球儀と証言
地球儀と竹籠
薔薇と鶏頭
「赤」ならざるものへの誘い
詩と真実
薔薇と鶏頭
「赤」ならざるものへの誘い
詩と真実
IX 「緋色の糸」に導かれて
二つの血文字
ホームズの死
「赤」、その希少性
赤の遍在
「赤」の悲劇
ホームズの死
「赤」、その希少性
赤の遍在
「赤」の悲劇
X 「赤」の擁護
フィクションと真実
理論と翻訳
「赤」の擁護
哲学的な禁欲?
控えめにして、鮮やかな
理論と翻訳
「赤」の擁護
哲学的な禁欲?
控えめにして、鮮やかな
終章 仮象、出来事、フィクション
変化の相
辰砂
フィクションの自由
最後に……
辰砂
フィクションの自由
最後に……
著者プロフィール
蓮實重彦
ハスミ・シゲヒコ
1936(昭和11)年東京生れ。東京大学文学部仏文学科卒業。1985年、映画雑誌「リュミエール」の創刊編集長、1997(平成9)年から2001年まで第26代東京大学総長を務める。文芸批評、映画批評から小説まで執筆活動は多岐にわたる。1977年『反=日本語論』で読売文学賞、1989年『凡庸な芸術家の肖像 マクシム・デュ・カン論』で芸術選奨文部大臣賞、1983年『監督 小津安二郎』(仏訳)で映画書翻訳最高賞、2016年『伯爵夫人』で三島由紀夫賞をそれぞれ受賞。他の著書に『批評あるいは仮死の祭典』『夏目漱石論』『大江健三郎論』『表層批評宣言』『物語批判序説』『陥没地帯』『オペラ・オペラシオネル』『「赤」の誘惑―フィクション論序説―』『「ボヴァリー夫人」論』など多数。1999年、芸術文化コマンドゥール勲章受章。
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