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佳作には入るけど、入選・特選は無理……あなたの俳句、何か間違っていませんか。

あなたの俳句はなぜ佳作どまりなのか

辻桃子/著

1,404円(税込)

本の仕様

発売日:2008/02/29

読み仮名 アナタノハイクハナゼカサクドマリナノカ
発行形態 書籍
判型 四六判
頁数 236ページ
ISBN 978-4-10-306051-2
C-CODE 0095
ジャンル 詩歌
定価 1,404円

俳句には十七音しかありません。たぶんあなたの句は、何かを言いすぎているか、何かが足りないのです。それさえ分かれば、佳作常連組から一歩抜け出ることができます。「俳句って、たのしい」がモットーの辻桃子さんが、懇切丁寧に添削実例を交えながら解説します。俳句に限らず、短くて的確な文章を書きたい方にも、大いに参考になるでしょう。

著者プロフィール

辻桃子 ツジ・モモコ

1945(昭和20)年、横浜市生れ。画家志望だったが、18歳(早稲田大学1年)で俳句入門。1987年「俳句って、たのしい」を掲げて『童子』を創刊主宰。現代俳句を経て、現在日本伝統俳句協会理事。「俳句はがき絵」を創始。第十句集『饑童子』で第5回加藤郁乎賞受賞。テレビの俳句番組・雑誌の俳句欄の選者多数。句集をはじめ、入門書や歳時記、エッセー集など著書多数。近著に『生涯七句であなたは達人』がある。

童子ウェブサイト (外部リンク)

目次

 まえがき――俳句って、やっぱりたのしい
第一講 正直に
第二講 愛情に溺れず、よく観察する
第三講 倒置する
第四講 猥雑に、聖らかに描写を
第五講 寂しい滑稽
 五七五という自由
第六講 私は私として生きる
第七講 数多く読む
第八講 自分なりのテーマを持つ
第九講 無意識の自分に出会う
第十講 季語は歳時記に従って従う
 私の歳時記
第十一講 生物に共感する
第十二講 急がず慌てずこつこつと
第十三講 「一物仕立」と「取合せ」で第三の世界へ
第十四講 新仮名・旧仮名
第十五講 季語を生かす
 具体的な季語
第十六講 通俗に堕さない
第十七講 嘘八百で
第十八講 写生から幻想へ
第十九講 常識をわずかに超える
第二十講 ナマなニュースは説明にすぎない
 現実と虚構
第二十一講 ボーッとした句、ヌーッとした句
第二十二講 お祝い俳句・赤子俳句
第二十三講 悲哀の中でも笑う精神
第二十四講 句会千回
第二十五講 俳句とは人間なのだから
 下五は必ず定型に
第二十六講 存在の恐しさを
第二十七講 自分の表現、自分の表記
第二十八講 無心に繰返し繰返し
第二十九講 下手ということ
第三十講 ほんのちょっとズラす
 爽波の句を読もう
第三十一講 自然主義者をめざせ
第三十二講 なんの変哲もない田舎へ
第三十三講 一匹の天道虫、一本の草
第三十四講 写生から超現実へ
第三十五講 古い季語を新しく
 遺言としての俳句
第三十六講 吟行と題詠と
第三十七講 持続力と才能
 徹底写生で写生を超える
 あとがき

インタビュー/対談/エッセイ

波 2008年3月号より 俳句って、やっぱりたのしい

辻桃子

俳句をやっていると、「佳作」には採られるのだが、そこから上の「入選」「特選」にはなかなか採られないという方が多い。そんな“佳作常連組”から少しでも脱却できるようにと、『あなたの俳句はなぜ佳作どまりなのか』を上梓した。どうすれば、さらにいい句になるのか、同書の一部をもとに、実例をお目にかけたい。なお、以下の句は、すべて私が主宰する俳句結社「童子」会員の作である。

冬蠅の時に命の音出せり
燗酒の心にしみる妻の留守

俳句とは、もともと「心を詠む」「命を詠う」ものだから、この大前提は言わないのが原則だ。「心」「命」は略して、ここを具体的にした方が、心や命のいとおしさがずっとよく伝わる。

→冬蠅の時に鋭き音出せり
→燗酒の喉にしみいる妻の留守

また、俳句は「一物仕立」(どこも切らない)か、「二物取合せ」(一箇所だけ切る)が原則である。

ラーメン屋茎残りありチューリップ

これだと上五、中七、下五と三段切れである。「二物取合せ」にして一箇所だけ切ってみると、

→チューリップ茎だけ残りラーメン屋

主語がわかりにくい句も多い。

武者人形毀れケースを縛りたる

作者は「武者人形の毀れたケース」のつもりで、「の」を略したのだろうが、このままでは「武者人形」が主語とも読めてしまう。まるで、人形が「毀れたケースを縛っている」みたいだ。また、作者は「縛った」ことを言いたいのかもしれないが、むしろ、縛られたケースの中の「武者人形」の方をテーマにした方が、俳句としては諧謔味が出て面白い。

→縛りたる毀れケースや武者人形

似たような例で、

葬列の長き田植の中を行く

このままだと「葬列が長い」のか「田植が長い」のかわからない。「葬列が長い」なら〈葬列の長く田植の中行けり〉。その長さを強調したいなら〈葬列の田植の中を行く長さ〉。また「田植の中」であることを強調したいなら〈葬列の長々行けり田植中〉としたらどうか。
全てが満たされている名句など、めったにあるものではない。私は、下手だがきらりと光るところのある原石のような句を選ぶ。つまり、「俳句は下手がいい」のだ。「下手でいい」のではない。ありきたりの上手ではなく、下手でもその人らしさのにじみ出た句がよい。
まず、私たちが生きている現代を詠むことが大切だ。いたずらに懐古趣味にならず、古い型を懐かしむのでなく、この古い型に新しい生命を吹きこんで、今に生かしたい。そして、俳句に新しく自由な流れを一本つけ加えられたら、俳句って、やっぱりたのしいのではないだろうか。


(つじ・ももこ 俳人)

判型違い(文庫)

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