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あなたは大切な人に何を伝えますか?

ありがとう、ごめんね、そしてさようなら―家族からのラブレター―

重松清/編著

1,296円(税込)

本の仕様

発売日:2008/04/30

読み仮名 アリガトウゴメンネソシテサヨウナラカゾクカラノラブレター
発行形態 書籍
判型 四六判
頁数 158ページ
ISBN 978-4-10-407508-9
C-CODE 0095
ジャンル エッセー・随筆、文学賞受賞作家
定価 1,296円

「活字に起こされた『私の物語』には、確かに、間違いなく、それぞれの“声”があった」。重松清が心を動かし、時には頬を緩ませ、あるいは目頭を熱くした――。自らの体験、大切な家族への想い、どうしても伝えたいことなど、市井の人々が真摯に綴った“とっておきのメッセージ四十一話”。MBS人気ラジオ番組「マイ・ストーリー」傑作選。

著者プロフィール

重松清 シゲマツ・キヨシ

1963(昭和38)年、岡山県生れ。出版社勤務を経て執筆活動に入る。1991(平成3)年『ビフォア・ラン』でデビュー。1999年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、同年『エイジ』で山本周五郎賞を受賞。2001年『ビタミンF』で直木賞、2010年『十字架』で吉川英治文学賞、2014年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞を受賞。現代の家族を描くことを大きなテーマとし、話題作を次々に発表している。著書は他に、『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『きみの友だち』『カシオペアの丘で』『青い鳥』『くちぶえ番長』『せんせい。』『とんび』『ステップ』『かあちゃん』『ポニーテール』『また次の春へ』『赤ヘル1975』『一人っ子同盟』『どんまい』『木曜日の子ども』など多数。

書評

波 2008年5月号より 「マイ・ストーリー」というニッポンの財産

白井敏雄

「財産というのは、なにも『カネ』や『モノ』に限定されるものではない。親から子へと語り継がれる物語だって――いや、むしろ、そのほうがかけがえのない財産に価するはずだ。
ならば、いまの時代を生きる誰もがそれぞれの胸に抱いている無数の『私の物語』は、誇りを持って愛すべきニッポンの財産ではないだろうか」
本書の「まえがき」に重松清さんが書かれたような思いなしでは、この番組は生まれなかった。
私たちが綴る小さなひとつひとつの物語「マイ・ストーリー」。小さな言葉が語る細やかな人生のエピソードは歴史を動かすわけではないけれど、「私たちが生きる時代」や「私たちの父母や祖父母が生きてきた時代」を、次の時代に語り継ぐ力を持つかもしれない――。
そんな気持ちからこの『マイ・ストーリー』というラジオ番組を企画した。
そして様々な「マイ・ストーリー」をラジオの電波に乗せて、文字通り「送りっ放し」とするだけではなく、書物という形で残したいと考え、新潮社さんにこの企画を持ち込み、コラボレーションが実現した。
同時に、この番組のナビゲーターを重松さんにお願いした。重松さんには快諾して頂いただけでなく、番組そのものについて積極的にご意見を頂戴した。
重松さんが一番心配しておられたことは、果たして本物の「マイ・ストーリー」というものがそんなに簡単に集められるかという点だった。そこで募集要項では、「仕事にまつわる話、恋愛や結婚にまつわる話、家族の話、学校や友情についての話、皆さんの生活・人生の一コマで体験した些細な出来事……あなたの胸に刻まれたささやかだけど輝く物語をお送りください」とより具体的に呼びかけることにした。
その結果、三〇〇編近い「マイ・ストーリー」が寄せられた。番組で紹介できたのはその一部だし、本書での紹介もその一部にとどまるが、ご紹介できなかった多くの物語も心に染み入る「マイ・ストーリー」だった。
スタジオでは、演劇集団キャラメル・ボックスによる作品の朗読が重松先生とアシスタントの小野真弓さんの目の前で、「生」で行われた。そのおかげで「マイ・ストーリー」は臨場感をもって語られ、二人の掛け合いがとても心を和ませてくれる番組となった。
放送が終了して半年が経ち、重松先生が新たに選考しなおした「マイ・ストーリー」が一冊の本に纏められた。
本書は、そのタイトル『ありがとう、ごめんね、そしてさようなら―家族からのラブレター―』が示すとおり、家族たちの物語集である。読者の方々は、ひとつひとつのお話が、心のなかで静かに反響しつづけるような読後感を味わうはずだ。家族への気持ちをなかなか素直に言うことのできないでいる自分に気づき驚く人もいれば、自分には経験できない体験を読んで、未熟さを感じる人もいるかもしれない。そして何よりも「家族なしでは生きていけない」という最も当たり前でありながら、最も気付きにくい事実に突き当たるだろう。
私たちはある時は子供として、ある時は夫または妻として、そしてある時は親として自分の家族を複層的に持っている。本書は、それぞれの自分がどの程度真剣に自分の家族たちと向き合っているのかを問い質す機会を与えてくれるし、いかに「ありがとう」、「ごめんね」を言い忘れてきたかを思い出させてくれる。そして、既に過ぎ去った「さようなら」、そして今後確実にやってくる「さようなら」の大きさを教えてくれる。
少しでも多くの読者が自分の家族をしっかりと見つめ直し、本当の「さようなら」を告げるときまで、家族に対して少しでも沢山の「ありがとう」、「ごめんね」を言えるようになれば、これらの小さな「マイ・ストーリー」たちは「誇りを持って愛すべきニッポンの財産」となるだろう。

(しらい・としお 株式会社毎日放送 東京支社事業部長)

目次

まえがき
第一章 君たちに出会えて幸せだった
絵本/読まれなかった遺言/満月の夜/出産の痛み、心の痛み/眠っていた記憶/息子の個性/一滴との闘い
第二章 力を合わせれば、恐いものなんてない
よそのうちの卵焼き/私はお金持ち/これからどうする?/記憶を失って知ったこと/加齢臭でも幸せ
第三章 悪い子でごめんね
お弁当バッグ/酒臭い父/最後の会話/最後のわがまま/忘れられない人/夢の中/小さなノート
第四章 その気持ちだけで十分やなぁ
ほんの一ミリ/手術の跡/涙の餞別/オブリガード/星に願いを
第五章 帰りたい。でも帰れない
誕生日/日本のバカヤローッ/チラシの手紙/二人は母
第六章 男って、アホですね
へこき虫/余命の宣告/ルミナリエ/あの時
第七章 あなたの娘なんだから
人生最大の喜び/黒焦げの穂と真白な実/宝物/自由に生きたらええんよ/赤い巾着袋/ハンドルが恋人/山あり谷あり、ルーズリーフ一枚/母の涙/母の来訪
重松 清「母のトランジスタ・ラジオ」

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