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“アメリカ史上最強の一族”によって初めて書かれた、壮大なる自叙伝。

ロックフェラー回顧録

デイヴィッド・ロックフェラー/著 、楡井浩一/訳

2,860円(税込)

本の仕様

発売日:2007/10/25

読み仮名 ロックフェラーカイコロク
発行形態 書籍
判型 四六判変型
頁数 652ページ
ISBN 978-4-10-505651-3
C-CODE 0098
ジャンル 評論・文学研究、ノンフィクション、歴史・地理
定価 2,860円

石油で巨万の富を築いた祖父、慈善家として有名な両親、副大統領で夢絶たれた兄、資本主義に反発する子供たち――莫大な資産をもとに、米国社会に影響を及ぼしてきた一族の内部を包み隠さず明かした書。チェース銀行の頭取として世界各国の元首と出会い、歴史的場面に立ち会ってきた著者が、九十余年の人生を振り返った。

著者プロフィール

デイヴィッド・ロックフェラー Rockefeller,David

1915年6月12日、ニューヨークで6人兄弟の末っ子として生まれる。祖父はスタンダード・オイル社を設立したジョン・D・ロックフェラー、父は慈善家として知られるジョンJr.。ハーヴァード大学を卒業後、同大大学院とロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで学び、シカゴ大学で経済学の博士号を取得。第2次世界大戦では陸軍大尉として従軍する。1946年にチェース・ナショナル(後のチェース・マンハッタン銀行)銀行に入行。1969~1981年まで同銀行の頭取兼最高経営責任者を務めた。現在にいたるまで数多くの国家元首や指導者と交流し国際問題に関与するとともに、近代美術館やニューヨーク市の復興、ロックフェラー大学など、さまざまな事業や慈善活動に携わっている。

楡井浩一 ニレイ・コウイチ

翻訳家。訳書に『文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの』(ジャレド・ダイアモンド、草思社)、『人類が知っていることすべての短い歴史』(ビル・ブライソン、NHK出版)、『価格戦争は暴走する』(エレン・ラペル・シェル、筑摩書房)、『美しき姫君 発見されたダ・ヴィンチの真作』(マーティン・ケンプ、パスカル・コット、草思社)、『まだ科学で解けない13の謎』(マイケル・ブルックス、草思社)など多数。

書評

波 2007年11月号より 世界を動かしたロックフェラー  デイヴィッド・ロックフェラー『ロックフェラー回顧録』

山本正

『ロックフェラー回顧録』は、今年九十二歳を迎えたロックフェラー家の当主デイヴィッドと、三代にわたり二十世紀の世界を動かしてきたロックフェラー一族からみたもう一つの世界史である。まことしやかな“ロックフェラー陰謀”説、あまりにも重すぎる名と富を背負った一族の苦悶とその闘いの歴史、その富と力が世界の歴史をどう変えてきたか、息もつかせず一気に最終章まで読者を惹きつける。
 筆者は、デイヴィッドとその家族、長兄のジョンに知己を得、長年にわたり親交を深める幸運を得た。初めて会ったのは、一九七二年、宮沢喜一氏、大来佐武郎氏等とともにロックフェラー邸での三極委員会設立準備会議の席だった。以来、三十年以上にわたり三極委員会はじめ、筆者が主宰する(財)日本国際交流センターの活動についてもデイヴィッドは深い関心と支援を続けてくれている。ソニーの故盛田昭夫氏とデイヴィッドの対談を企画したり、マンハッタンやニューヨーク郊外の屋敷や別荘に伺ったり、あるいはプライベートな旅行に同行するなど、親しくその人柄に触れる機会を持ってきた。穏やかでゆったりした語り口で周りに不思議な安心感を与える、その人となりに長年接してきた筆者であるが、本書を通じて実に多くの事実をあらためて知った。
 週給五ドルの店員から石油王として巨万の富を築いた初代ロックフェラーは資本主義の巨悪の象徴として弾劾されたが、敬虔なプロテスタントとして、酒、タバコを控え収入の十%は慈善寄付をするようにとの教育を子どもたちに施してきた。祖父を超えることはデイヴィッドの父には不可能に近く、如何にロックフェラーの富を社会と子どもたちに還元し、ロックフェラー家としての矜持を保つかに腐心した。第三世代はロックフェラーの名前に抵抗し続けた長女アビー、社会公益活動に貢献した長男ジョン、副大統領のネルソン、不動産王ローランス、アーカンソー州知事ウィンスロップ、そして第六子がデイヴィッドだった。彼ら全員が、自分たちが例外的な一族に属していることを幼少時より自覚していた。自分を含め兄弟の多くが失読症だったり、愛する母親や姉が重圧により鬱病を患ったこと、長じてはロックフェラー家の財産を如何に管理するか兄弟間で大きな意見の食い違いを経験した。さらにはデイヴィッドの子どもたちも個人としてのアイデンティティを求めて苦悩し、今ではロックフェラー一族としてそれぞれの専門性のもとに活動をしていること、そして、何十年という歳月を経て兄弟そして親子の絆をあらためて確認しあったことが率直に語られている。
 戦前から今日に至る人脈の華麗さは、ロックフェラーという名前だけで王族にも国家元首にも会えるということがなければ築けなかったことではあるが、一時は政治家を志した財界人デイヴィッドの力量に負う所が多い。中東や南米の元首たちとの交渉裏話はまさに、歴史そのものである。デイヴィッドとキッシンジャーが画策したとされるイランのパーレビ国王の亡命は米国政府の約束不履行を繕うためだった等、いくつものエピソードが述べられている。
 国際関係に果たした役割の余りの多さ、大きさ故に、日本については世界的な話題となった三菱地所のロックフェラー・センター買収顛末の記述が中心となっている。デイヴィッドが丸ビルの玄関で転倒、骨折し某病院に急遽入院、痛み止めと称してマティーニをホテル・オークラから届け、丁度電話をかけてきた夫人のペギーに見破られたこと、ソニーの大賀会長の好意で自家用機を出してもらい米国に帰っていただいたこと等、今では懐かしく思い出される。
 しかし、本書の本質は、「社会の健全性のためにはフィランソロピー(社会変革をめざす寄付・助成活動)が必要」という確固たる一族の信念である。巨万の富を社会向上のために如何に分配するか、現在活躍している数多くの世界的な組織はロックフェラーの資金により生まれている。WHO(世界保健機関)もロックフェラー財団の活動から生まれたものであることは決して不思議なことではない。


(やまもと・ただし〔財〕日本国際交流センター理事長)

目次

序文 日本の読者へ
第一章 祖父
第二章 父と母
第三章 子ども時代
第四章 旅行
第五章 ロックフェラー・センター
第六章 ハーヴァード大学
第七章 偉大な経済学者に学ぶ
第八章 論文、結婚、就職
第九章 戦争
第十章 チェース銀行への就職
第十一章 第二の本職のはじまり
第十二章 チェース・マンハッタン銀行の誕生
第十三章 対立
第十四章 困難な過渡期
第十五章 グローバルな銀行を創る
第十六章 舵取り
第十七章 ソ連との関わり
第十八章 竹のカーテンを越えて中国へ
第十九章 中東の“バランス”を保つ使者
第二十章 生き残るOPEC
第二十一章 仕事上の動乱
第二十二章 家庭内の悩み
第二十三章 兄弟間の対立
第二十四章 シャー
第二十五章 目標の履行
第二十六章 ニューヨーク、ニューヨーク
第二十七章 誇り高き国際主義者
第二十八章 国境の南
第二十九章 近代美術への情熱
第三十章 帰ってきたロックフェラー・センター
第三十一章 パートナーシップ
結び
あとがき
謝辞
索引

判型違い(文庫)

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