
バット・ビューティフル
2,090円(税込)
発売日:2011/09/30
- 書籍
その共和国にはとてもシンプルな名前がついている。ジャズ――。
酒、ドラッグ、そして自らの音楽に蝕まれていくミュージシャンたち。悲しみと孤独に満たされた彼らの人生には、それでも美しいジャズの音色があった――。モンク、エリントン、ミンガスら、伝説のジャズ・プレイヤーのショート・ストーリーを村上春樹が完全翻訳。巨人たちの音楽が鳴り響く、サマセット・モーム賞受賞作。
写真のためのノート
楽器が宙に浮かびたいと望むのなら
セロニアス・モンク
もしモンクが橋を造っていたら
バド・パウエル
ここはまるで降霊会のようだよ、バド
ベン・ウェブスター
彼は楽器ケースを携えるように、淋しさを身の回りに携えていた
チャールズ・ミンガス
彼のベースは、背中に押しつけられた銃剣のように、人を前に駆り立てた
チェト・ベイカー
その二十年はただ単に、彼の死の長い一瞬だったのかもしれない
アート・ペパー
おれ以外のいったい誰が、このようにブルーズを吹けるだろう?
出典
訳者あとがき
ディスコグラフィー
書誌情報
読み仮名 | バットビューティフル |
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発行形態 | 書籍 |
判型 | 四六判変型 |
頁数 | 288ページ |
ISBN | 978-4-10-506311-5 |
C-CODE | 0097 |
ジャンル | 文芸作品、ノンフィクション、音楽 |
定価 | 2,090円 |
著者プロフィール
ジェフ・ダイヤー
Dyer,Geoff
1958年、英国南西部のチェルトナム生まれ。オックスフォード大学で英文学を学び、1980年代前半からジャーナリストとして活動を始める。1987年、ブッカー賞作家ジョン・バージャーを考察した『Ways of Telling: Work of John Berger』を刊行、以後作家・批評家として先鋭的な小説やノンフィクションを数多く発表する。1997年、D・H・ローレンスを描いた『Out of Sheer Rage: In the Shadow of D.H.Lawrence』が全米批評家協会賞小説部門の最終候補作に、また2006年にはE・M・フォースター賞を受賞。『バット・ビューティフル』(1991)は1992年度のサマセット・モーム賞を受賞した、著者初の邦訳作品となる。
村上春樹
ムラカミ・ハルキ
1949(昭和24)年、京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。1979年『風の歌を聴け』(群像新人文学賞)でデビュー。主な長編小説に、『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞)、『ノルウェイの森』、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『スプートニクの恋人』、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』、『1Q84』(毎日出版文化賞)、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』、『騎士団長殺し』、『街とその不確かな壁』などがある。『螢・納屋を焼く・その他の短編』、『神の子どもたちはみな踊る』、『東京奇譚集』などの短編小説集、エッセイ集、翻訳書など著書多数。2006(平成18)フランツ・カフカ賞、オコナー国際短編賞、2009年エルサレム賞、2011年カタルーニャ国際賞、2016年アンデルセン文学賞、2022(令和4)年チノ・デルドゥカ世界賞を受賞。