謎解き フェルメール
1,430円(税込)
発売日:2003/06/25
- 書籍
のこされたわずか三十数点の作品を読み解いて探る画家の真実。
のこされた作品は、わずか三十数点――傑作から失敗作まで、その1点1点を読み解きながら、“謎の天才画家”と神秘化されてきたフェルメールの真実の姿を探る。故郷、デルフトの写真紀行に加え、CGを駆使して解明するフェルメールの絵画構築術、また、ナチスを欺いた世紀の贋作事件の舞台裏や、繰り返される盗難事件も徹底追跡!
どこがどう凄いのでしょうか?
デルフトに生まれ、死んだ
ひとりの画家のことを教えてください 【撮影】 野中昭夫
●デルフト水先案内●
フェルメールは
どんな時代に生まれたのですか?
“風俗画家”としての本領は
どこにあったのですか?
【1650年代半ば】
デルフト風景を描いたそのわけは?
【1650年代末】
フェルメール、何かを掴む!
【1660年代はじめ】
美しき到達点
【1660年代】
翳りゆく晩年
【1670年代】
論議のわかれる4作品
“200年後に再発見”の真相は?
世紀の贋作事件は
なぜ起きたのですか?
フェルメールの絵は
どこまで「写実」なんでしょうか?
【21世紀の視点】
朽木ゆり子
フェルメール年譜
書誌情報
読み仮名 | ナゾトキフェルメール |
---|---|
シリーズ名 | とんぼの本 |
雑誌から生まれた本 | 芸術新潮から生まれた本 |
発行形態 | 書籍 |
判型 | A5判 |
頁数 | 112ページ |
ISBN | 978-4-10-602104-6 |
C-CODE | 0371 |
ジャンル | ノンフィクション、絵画、画家・写真家・建築家 |
定価 | 1,430円 |
「フェルメールの部屋」
担当編集者のひとこと
謎解き フェルメール
現存する作品はわずか30数点! しかもその中にも真作かどうか疑わしいものがあったりするので、フェルメールは「謎の天才画家」なんていわれて、神秘化されがちです。しかし、近年の研究で、フェルメールについてはかなり詳しいことがわかっています。そこでこの本では最新の研究データをもとに、「謎」ではない、「一人のオランダ人画家の真実の姿」を探ってみました。解説してくださるのは、日本のフェルメール研究家の権威、小林賴子さん。フェルメールだって人間だもの、傑作もあれば失敗作だってあるさ……そんな気軽なスタンスで、作品1点1点の背景にある時代、社会、そしてフェルメールの「個人的事情」まで読み解いていきます。
美術史的な解説に加え、今回、とても面白かったのは、フェルメールがいったいどんなふうにして絵を描いていたか、についての考察です。当時、カメラの前身である「カメラ・オブスキュラ」という装置があって、フェルメールはこれを使い、レンズを通して得た像を暗室に映し出して、それをそのままなぞっていたのではないか? という説があるのです。この説を証明するために、当時のフェルメールのアトリエを再現したり、CG技術を駆使したりして、世界中でさまざまな試みがなされています。その代表的な検証例を紹介しながら、フェルメールの画作の秘密を探ってみました。また、なぜか繰り返される盗難事件についての朽木ゆり子さんのルポも必読!
2003/06/25
著者プロフィール
小林頼子
コバヤシ・ヨリコ
1948年、山口県生まれ。美術史家。目白大学社会学部メディア表現学科教授。専門は17世紀オランダ美術史、日蘭美術交流史。第10回吉田秀和賞を受賞した『フェルメールの世界 17世紀オランダ風俗画家の軌跡』(日本放送出版協会)、『フェルメール論―神話解体の試み』(八坂書房)ほか著書多数。
朽木ゆり子
クチキ・ユリコ
東京都生れ。国際基督教大学教養学部社会科学科卒。同大学院行政学修士課程修了。コロンビア大学大学院政治学科博士課程に学ぶ。1987(昭和62)年から1992(平成4)年まで「日本版エスクァイア」誌副編集長。1994年よりニューヨーク在住。著書に『東洋の至宝を世界に売った美術商―ハウス・オブ・ヤマナカ―』『フェルメール全点踏破の旅』『盗まれたフェルメール』などがある。