歌麿の謎 美人画と春画
1,430円(税込)
発売日:2005/11/24
- 書籍
美人画の謎解きから春画の大解剖まで「歌麿」絶頂期のエロチカを読み解く!
浮世絵の黄金時代を築いた稀代の絵師・喜多川歌麿。その独創的な美人大首絵は、いかにして生まれてきたのか? 世紀の大傑作春画『歌まくら』は、出版当時はじつは不評だった。なぜそれが十年以上も後に復活したのか? 傑作美人画&春画の数々をたっぷりと紹介しつつ、歌麿作品のさまざまな謎にせまるビジュアルブック!
美人画の謎 平賀弦也
II 「高名美人六家撰」闘う美人画
歌麿 究極の色香 リチャード・レイン
II 『歌まくら』の失敗と復活
III 歌麿のラストエロチカ
解剖 歌麿春画
II 枕絵をひもと
艶本で読む歌麿 林美一
解剖 歌麿春画
書誌情報
読み仮名 | ウタマロノナゾビジンガトシュンガ |
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シリーズ名 | とんぼの本 |
雑誌から生まれた本 | 芸術新潮から生まれた本 |
発行形態 | 書籍 |
判型 | A5判 |
頁数 | 128ページ |
ISBN | 978-4-10-602137-4 |
C-CODE | 0371 |
ジャンル | ノンフィクション、絵画、日本の伝統文化、画家・写真家・建築家 |
定価 | 1,430円 |
『歌まくら』より(部分図)
担当編集者のひとこと
『歌まくら』といえば、喜多川歌麿、渾身の大作枕絵です。今でこそ、葛飾北斎の『浪千鳥』や鳥居清長の『袖の巻』と並ぶ、浮世絵春画最高峰の作品とされていますが、じつは出版当時は、あまり評判は芳しくなかったようです。しかし、とある事情から、出版後10年以上たって、ふたたび脚光を浴びることになります。いったいどんな事情があったのでしょう?
そして歌麿といえば、やはり美人大首絵。これを目の当たりにした当時の人々は、活き活きと描かれた美人画のあまりの斬新さに、さぞびっくりしたに違いありません。しかし狂歌本の豪華な木版挿絵などで活躍していた歌麿が、なぜ突然、こんな美人画へと行き着いたのでしょう?
本書では、歌麿の美人画&春画のなかから、選りすぐりの名品を紹介しつつ、稀代の絵師・歌麿のさまざまな謎に迫ります。歌麿の絶頂期のエロチカを読みとく1冊、すみからすみまで見ごたえ読みごたえたっぷりです。
ところで、著者のひとり、リチャード・レインさんは、長らく日本に住み、江戸時代の言葉にまで精通してしまったほどの枕絵研究の大家です。本書の『歌まくら』をめぐる謎ときは、このレインさんの手によるものです。が、じつはレインさん、この原稿が「芸術新潮」2003年1月号に掲載される直前にお亡くなりになられました。享年76。この原稿がレイン博士の最後の謎ときとなったのです。
2005/11/25
著者プロフィール
リチャード・レイン
Dr.Lane,Richard
1926年アメリカ生まれ。東京大学、早稲田大学、京都大学の各大学院で国文学を学んだ後、1958年、コロンビア大学で日本文学の博士号取得。日本の現代語および江戸時代語に通じ、コロンビア大学やメリーランド大学等で日本語、日本文学、日本美術を教えると共に、浮世絵の名門コレクターの顧問や、ホノルル美術館の学芸員も務めた。最近40年間は日本に住み、師宣や北斎をはじめとする浮世絵に造詣が深い。日本美術と日本文学に関する当代一流の学者である。主な著書『Masters of the Japanese Print』『Images from the Floating World』『浮世絵の初期絵巻』『伝記画集・北斎』『新篇初期版画・枕絵』『定本・浮世絵春画名品集成』など多数。文部省紺綬褒章、日本浮世絵協会賞、京都大学人文科学研究所奨励賞受賞。
林美一
ハヤシ・ヨシカズ
1922(大正11年)大阪生まれ。大阪市立東商業学校卒。戦後、大映京都撮影所に勤務し、文案執筆。1960(昭和35)年に退社、江戸文芸研究者として独立。1966年より時代考証家(映画・テレビ・舞台)としても活躍する。『艶本研究』14巻をはじめ、江戸艶本関係の研究において画期的な業績をあげた。主な著書『浮世絵の極み 春画』『北斎 漫画と春画』など多数。1999年逝去。